免疫力 体のバリア:氣分の働き
氣分とは、東洋医学において、体の表面を流れる衛気のさらに奥深く、いわば体のバリアのような役割を担う重要な概念です。體の表面を守る衛気が外堀だとすれば、氣分は内堀に例えることができ、外敵の侵入を防ぐ二重の防御壁として機能しています。氣分は、主に肺、胆嚢、脾臓、胃、大腸といった臓腑と密接に関係しています。これらの臓腑は、呼吸によって生命活動に必要な氣を取り入れたり、食物から必要な養分を吸収したり、不要な水分を排泄したりと、人が生きていく上で欠かせない働きを担っています。氣分は、これらの臓腑を外部からの邪気から守り、スムーズに働くように助ける役割を果たしていると考えられています。例えば、風邪の初期症状を考えてみましょう。寒さを感じた時、まずゾクゾクと悪寒が走り、鼻水やくしゃみが出始めます。これは、外邪である寒邪が体に侵入しようとしている段階で、衛気が寒邪と闘っている状態です。この時、衛気がしっかりと働いていれば、風邪の症状はそこで治まります。しかし、衛気が弱っていると、寒邪はさらに体の奥深く、氣分の領域まで侵入してきます。すると、発熱や頭痛、倦怠感といった、より強い症状が現れるようになります。これは氣分が寒邪と闘っている証です。このように氣分は、衛気とともに体の健康を維持するために重要な役割を果たしています。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な休息などによって、氣分を充実させ、健康な体を維持することが大切です。
