
気血の乱れ:健康への影響
東洋医学では、生命活動を支える重要な要素として「気」と「血」という二つの概念が存在します。この二つは車の両輪のように、バランスを取りながら私たちの健康を維持しています。
まず「気」とは、目に見えない生命エネルギーのようなものです。体全体をくまなく巡り、様々な働きを担っています。体を温める、内臓の働きを活発にする、成長を促す、外敵から身を守るなど、生命活動の根源と言えるでしょう。例えるなら、体全体を温めるのは、まるでかまどに火を焚べるように、体の中から熱を生み出し、体温を維持する働きです。また内臓がしっかりと働くのも、「気」がそれぞれの内臓に活力を与えているからです。呼吸をする、食べ物を消化する、老廃物を排出するといった、生きるために必要な機能はすべて「気」によって支えられています。さらに、子供が成長していくのも、体が外敵から守られるのも、この「気」の力によるものです。
次に「血」ですが、これは栄養を運び、全身を潤す役割を担います。食べ物から得られた栄養は「血」に変換され、血管を通して体の隅々まで届けられます。これにより、筋肉や骨、皮膚など、体を作る様々な組織が健やかに保たれます。また、「血」は体を潤す働きも持ち、乾燥を防ぎ、つややかな肌や髪を保つのに役立ちます。まるで植物が水によって育まれるように、私たちの体も「血」によって滋養されています。
「気」と「血」は互いに密接に関係し合い、影響を与え合っています。「気」は「血」の生成を促し、スムーズに流れるようにサポートします。一方、「血」は「気」の源となり、活動の基盤となっています。この二つのバランスが整っている状態が健康であり、顔色も良く、体力も十分で、病気にもかかりにくい状態です。逆に「気」や「血」が不足すると、様々な不調が現れます。例えば、「気」が不足すると疲れやすくなったり、元気がなくなったりします。「血」が不足すると、顔色が悪くなったり、めまいや立ちくらみが起こったりします。まるで植物が太陽の光と水によって育まれるように、私たちの体も「気」と「血」によって健やかに保たれているのです。