
お尻の腫れと痛み:臀癰について
臀癰(でんよう)とは、お尻の割れ目の奥深く、医学用語で言うと殿溝(でんこう)にできる、痛みを伴う腫れのことです。この場所は、普段から蒸れやすく、細菌が繁殖しやすい環境にあります。座る動作の摩擦も加わるため、皮膚が傷つきやすく、細菌が侵入しやすくなっています。臀癰は、主に化膿レンサ球菌やブドウ球菌などの細菌感染によって引き起こされます。これらの細菌が、毛穴や汗腺、あるいは皮膚の小さな傷から侵入し、炎症を起こして化膿することで発症します。
初期症状としては、患部に痛みや熱感を感じ、赤く腫れ上がった部分が硬くなります。さらに悪化すると、ズキズキとした強い痛みに襲われ、座ることも難しくなります。また、膿が皮膚の下に溜まり、触れるとぶよぶよとした感触がすることがあります。重症化すると、患部から黄色や黄緑色の膿が出てくる場合もあります。さらに進行すると、発熱や倦怠感、食欲不振といった全身症状が現れることもあり、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
臀癰は、適切な治療を行わないと再発しやすいため、早期発見と適切な治療が重要です。日頃から清潔を心がけ、石鹸で丁寧に洗い、清潔な状態を保つことが大切です。また、通気性の良い下着を着用し、皮膚を清潔で乾燥した状態に保つことで、細菌の繁殖を抑え、皮膚のバリア機能を維持することができます。これにより、臀癰の予防につながります。さらに、栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠を摂ることで、免疫力を高め、感染症への抵抗力を強化することも重要です。