
肝気上逆:その原因と症状
東洋医学では、肝は単なる臓器ではなく、生命エネルギーである「気」の調整を担う重要な役割を担っています。この「気」の流れがスムーズであれば、心身ともに健康な状態を保つことができます。しかし、様々な要因によってこの肝の働きが乱れると、「気」が本来流れるべき方向とは逆に、上半身に向かって逆流してしまうことがあります。これを「肝気上逆」といいます。
「気」は全身をくまなく巡り、生命活動を支える源です。栄養を運んだり、体温を調節したり、精神活動を支えたりと、「気」の働きは多岐に渡ります。この「気」の流れが逆流すると、まるで川の流れがせき止められ、上流で水があふれるように、上半身、特に頭部に「気」が過剰に集中してしまいます。
この状態が続くと、様々な不調が現れます。例えば、のぼせや顔のほてり、目の充血、頭痛、めまい、耳鳴りなどを感じることがあります。また、精神的にもイライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、情緒不安定になったりすることもあります。さらに、不眠や寝汗、口の渇きといった症状が現れることもあります。これらの症状は、「気」の逆流によって上半身に熱がこもりやすくなることが原因と考えられています。
肝気上逆は、ストレスや過労、不規則な生活、睡眠不足、暴飲暴食など、様々な要因によって引き起こされます。また、体質的に肝の働きが亢進しやすい人もいます。日頃からバランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、ストレスを溜め込まないようにすることが大切です。症状が重い場合は、専門家に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。