
頸癰:首の腫れと痛み
頸癰(けいよう)とは、首の側面にできる痛みを伴う腫れのことを指します。まるで首に癰(よう)という腫れ物ができたかのように見えることから、このように呼ばれています。頸部(首)の皮膚の奥深くや、リンパ節といった場所に細菌が入り込み、炎症を起こして膿がたまることで発症します。現代医学では、頸部深部膿瘍や頸部リンパ節炎と診断され、抗生物質を用いた治療が中心となります。
東洋医学では、この頸癰は体内の熱や毒が過剰に溜まっている状態と考えます。体に悪い影響を与える熱や毒が、首の部分に集まり、腫れや痛みといった症状を引き起こすと考えられています。そのため、熱や毒を取り除き、体のバランスを整える治療が重要になります。患者の体質や症状に合わせて、漢方薬を処方したり、鍼灸治療を行うこともあります。
頸癰は、初期症状では首の腫れや痛み、発熱などがみられます。症状が進むと、呼吸困難や嚥下困難(食べ物を飲み込みにくい状態)などを引き起こすこともあり、放置すると命に関わる危険性も出てきます。特に、普段から病気を患っている方や、体力が落ちている方は、重症化しやすいため注意が必要です。
首に腫れや痛み、発熱などの症状が現れた場合は、自己判断で薬を服用したり、民間療法を試したりせず、速やかに医療機関を受診することが大切です。医師による適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、早期に回復へと導くことができます。早期発見、早期治療が何よりも重要です。