その他 肝陽偏旺:高血圧との関係
人の体は、まるで精巧な時計仕掛けのように、様々な部品が組み合わさり、互いに影響しあって動いています。東洋医学では、この部品の一つ一つを「臓腑」と呼び、その働きやバランスを重視します。中でも「肝」は、血液を蓄え、全身の気の巡りを整えるという大切な役割を担っています。まるで体内のダムのように、血液を適切に管理し、必要な時に必要な場所へ送り出すことで、体の機能を維持しているのです。肝はまた、心の状態とも深く関わっており、精神的なストレスの影響を受けやすい臓腑でもあります。この肝の陽気が過剰になり、上に昇ってしまう状態を「肝陽偏旺」と言います。陽気とは、生命活動を支える大切なエネルギーのようなもので、本来は精神を活発にし、体を温める働きをしています。しかし、ちょうど火加減が強すぎるあまり鍋が焦げ付いてしまうように、肝陽が強すぎると体内のバランスが崩れ、様々な不調が現れます。これが肝陽偏旺の状態です。肝陽偏旺になると、熱が上に昇るため、頭に血が上ったような状態になりやすいです。そのため、顔が赤らみ、のぼせ、激しい頭痛やめまいを感じることがあります。また、イライラしやすく、怒りっぽくなるのも特徴です。まるで沸騰したお湯のように、心が落ち着かず、不眠に悩まされることもあります。さらに、高血圧などの症状が現れることもあり、肝陽偏旺は決して軽視できない体のサインです。これらの症状は一見バラバラに見えますが、東洋医学では、すべて肝陽の上昇という一つの原因で繋がっていると考えます。まるで木の根っこが伸びすぎて、枝葉が茂りすぎるように、肝の陽気が過剰になることで、様々な症状が枝分かれして現れるのです。
