経絡学説

記事数:(2)

その他

経絡:東洋医学の神秘

経絡とは、東洋医学において欠かすことのできない重要な概念で、生命エネルギーである「気」の通り道のことです。この「気」は全身をくまなく巡り、私たちの生命活動を支える源となっています。体の中を網の目のように走り、臓腑や器官、組織などを繋ぎ、まるで体全体を統括する連絡網のように働いています。経絡は、単なる血管や神経といった目に見える物理的な組織とは異なり、より深いレベルで生命活動を支えるエネルギーのネットワークと捉えられています。例えるならば、体中に張り巡らされたエネルギーの通り道であり、この経絡を通じて「気」が全身に行き渡り、各組織や器官が正しく機能するように調整されているのです。この経絡の流れが滞ってしまうと、「気」の流れも悪くなり、気血のバランスが崩れてしまうと考えられています。そして、このバランスの乱れが、肩こりや腰痛、冷え性といった様々な不調となって体に現れるのです。東洋医学では、病気は経絡における「気」の滞りや不足が原因で起こると考え、その流れをスムーズにすることで健康を保つことができるとされています。鍼灸治療や按摩、指圧といった東洋医学の施術は、経絡上の特定の点(ツボ)を刺激することで、「気」の流れを調整し、不調を改善することを目的としています。目には見えない「気」の流れ道である経絡ですが、東洋医学の治療の基礎を成す重要な概念であり、健康を維持するために欠かせないものなのです。
その他

太陰:東洋医学における二つの意味

東洋医学では「太陰」という言葉は、自然のリズムと体の働きの両面を表す大切な意味を持っています。まるで陰陽のように、この二つの側面は切り離すことができません。まず、自然界のエネルギーの流れに着目した考え方では、太陰は湿り気を意味します。雨や霧、露といった湿気は、生命を育む大切な要素である一方、過剰になると体に不調を招くこともあります。季節の変わり目や梅雨の時期などは、特にこの湿気の影響を受けやすいので注意が必要です。次に、体の中を流れるエネルギーの通り道である経絡の考え方に目を向けると、太陰は肺と脾という二つの臓腑と深く関わっています。肺は呼吸を通して体内に新鮮な空気を取り込み、不要なものを排出する働きを担っています。肺の働きが弱ると、呼吸が浅くなったり、風邪を引きやすくなったりします。一方、脾は食べ物から栄養を吸収し、全身に送る働きを担っています。脾の働きが弱ると、食欲不振や消化不良、疲れやすさなどを引き起こすことがあります。一見すると関係がないように思える肺と脾ですが、東洋医学では密接な関係があるとされています。例えば、肺の働きが弱ると、体内の水分代謝が滞り、脾の働きにも悪影響を及ぼします。反対に、脾の働きが弱ると、体内の湿気が過剰になり、肺の働きを阻害することもあります。このように、太陰は自然界の湿気と、肺と脾の働きを通して、私たちの健康に大きく影響を与えています。太陰のバランスを保つことは、健康な毎日を送る上でとても大切です。