その他 太陰:東洋医学における二つの意味
東洋医学では「太陰」という言葉は、自然のリズムと体の働きの両面を表す大切な意味を持っています。まるで陰陽のように、この二つの側面は切り離すことができません。まず、自然界のエネルギーの流れに着目した考え方では、太陰は湿り気を意味します。雨や霧、露といった湿気は、生命を育む大切な要素である一方、過剰になると体に不調を招くこともあります。季節の変わり目や梅雨の時期などは、特にこの湿気の影響を受けやすいので注意が必要です。次に、体の中を流れるエネルギーの通り道である経絡の考え方に目を向けると、太陰は肺と脾という二つの臓腑と深く関わっています。肺は呼吸を通して体内に新鮮な空気を取り込み、不要なものを排出する働きを担っています。肺の働きが弱ると、呼吸が浅くなったり、風邪を引きやすくなったりします。一方、脾は食べ物から栄養を吸収し、全身に送る働きを担っています。脾の働きが弱ると、食欲不振や消化不良、疲れやすさなどを引き起こすことがあります。一見すると関係がないように思える肺と脾ですが、東洋医学では密接な関係があるとされています。例えば、肺の働きが弱ると、体内の水分代謝が滞り、脾の働きにも悪影響を及ぼします。反対に、脾の働きが弱ると、体内の湿気が過剰になり、肺の働きを阻害することもあります。このように、太陰は自然界の湿気と、肺と脾の働きを通して、私たちの健康に大きく影響を与えています。太陰のバランスを保つことは、健康な毎日を送る上でとても大切です。
