喘鳴

記事数:(6)

風邪

東洋医学から見る哮: その原因と治療

哮とは、息をするたびにヒューヒュー、ゼーゼーといった笛のような音が聞こえる、息苦しさを伴う状態を指します。この笛のような音は、狭くなった気道を空気が通るときに生じる音です。現代医学でいう喘息と似た部分もありますが、東洋医学では哮をもっと広い意味で捉えています。喘息だけでなく、様々な息苦しさを伴う病気を含みます。東洋医学では、哮は単に呼吸器の病気として捉えるのではなく、体全体のバランスが崩れた結果、呼吸器に症状が現れたものと考えます。まるで、体の不調が呼吸器を通じてメッセージを送っているかのようです。そのため、その根本原因を探ることが重要になります。表面的な症状だけを抑えるのではなく、体全体の調和を取り戻すことで、根本的な改善を目指します。哮の原因は様々ですが、大きく分けて「外邪」と「内傷」の二つに分けられます。外邪とは、風邪や寒さ、乾燥といった外からの影響のことです。これらが体に侵入することで、気道の流れを阻害し、哮を引き起こすと考えられます。内傷とは、体の内側の問題、例えば、食べ過ぎや飲み過ぎ、過労、精神的なストレスなどです。これらが積み重なることで、体のバランスが崩れ、結果として哮を引き起こすと考えます。治療においては、まず原因を見極めることが大切です。外邪が原因であれば、それを体から追い出す治療を行います。内傷が原因であれば、体のバランスを整え、弱った機能を回復させる治療を行います。具体的には、漢方薬や鍼灸、食事療法などを組み合わせて、体質改善を図り、哮の再発を防ぐことを目指します。根本的な体質改善こそが、哮の予防と再発防止に繋がるのです。
風邪

鎖喉風:知っておくべき症状と対処

鎖喉風は、喉の奥にある扁桃とその周辺組織に急激な炎症が起こる辛く苦しい病気です。まるで喉に鍵をかけられたように、強い痛みと腫れが生じ、呼吸や飲食が困難になります。東洋医学では、この鎖喉風を様々な角度から捉えています。まず、肺、胃、腎といった内臓の働きが乱れることが原因の一つと考えられています。肺は呼吸をつかさどり、胃は消化吸収を、腎は体内の水分代謝を調節する大切な臓器です。これらの臓器のバランスが崩れると、体内のエネルギーの流れが滞り、病気を引き起こしやすくなります。また、風邪などの外から侵入する邪気も原因となります。特に、冷えや乾燥した空気、急激な気温の変化などは、体の防御機能を弱め、病原体が侵入しやすくなります。さらに、体内に熱がこもることも鎖喉風の原因となります。辛いものや脂っこいものの食べ過ぎ、過労、ストレスなどは体内に熱を生み出し、炎症を悪化させます。現代医学では、鎖喉風は扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍といった病気に相当します。これらは細菌やウイルス感染によって引き起こされ、高熱や倦怠感、頭痛などを伴うこともあります。鎖喉風は重症化すると呼吸困難に陥る可能性もあるため、迅速な診断と適切な治療が欠かせません。東洋医学と現代医学の両方の知見を組み合わせ、体質改善や生活習慣の見直しに取り組むことで、鎖喉風の予防と改善を目指しましょう。
風邪

喘鳴:呼吸の異音とその対処法

喘鳴(ぜんめい)とは、息を吸ったり吐いたりする際に、胸や背中からヒューヒュー、ゼーゼーといった笛のような音が聞こえる状態のことを指します。この音は、空気が通る道である気道が狭くなっているために発生します。まるで笛を吹くように、狭い隙間を空気が通るときに音が鳴るのです。気道が狭くなる原因は様々です。例えば、風邪をひいた際に気道が炎症を起こして腫れると、空気の通り道が狭くなり、喘鳴が生じることがあります。また、気管支炎も喘鳴のよくある原因の一つです。気管支炎では、気管支に炎症が起こり、粘液が過剰に分泌されることで、気道が狭くなります。喘鳴は比較的軽い病気のサインであることもありますが、深刻な病気の兆候である可能性もあります。喘息は、気道の炎症や痙攣によって呼吸が困難になる病気であり、喘鳴を伴うことがよくあります。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)も喘鳴を引き起こす可能性のある病気です。COPDは、肺の気道が徐々に狭くなり、呼吸機能が低下していく病気です。喘鳴が続く場合や、息苦しさ、呼吸困難を伴う場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。自己判断で市販薬を使用したり、症状を放置したりすると、病気が悪化し、重篤な状態になる可能性があります。医師による適切な診断と治療を受けることで、原因となっている病気を特定し、適切な対処をすることができます。医師は聴診器で呼吸音を聴いたり、呼吸機能検査などの検査を行ったりして、喘鳴の原因を探ります。そして、その原因に基づいて、薬物療法や呼吸リハビリテーションなど、適切な治療法を選択します。
その他

心肺気虚:息切れと倦怠感の東洋医学的理解

東洋医学では、人間の生命活動は「気」「血」「水」の三つの要素で成り立っていると考えられています。この中で「気」は、体全体を循環し、生命エネルギーの源となる重要なものです。この「気」が不足した状態が「気虚」と呼ばれ、様々な不調を引き起こすとされています。「心肺気虚」とは、心臓と肺に「気」が不足している状態を指します。心臓は全身に血液を送るポンプのような役割を担い、肺は呼吸を通して体内に新鮮な空気を取り込み、不要なものを排出する役割を担っています。東洋医学では、この二つの臓器は密接な関係があり、互いに影響し合っていると考えられています。肺で取り込まれた新鮮な空気は、血液に酸素を供給するために必要不可欠です。また、心臓が血液を全身に送ることで、肺の機能も正常に保たれます。心肺気虚になると、これらの臓器の働きが弱まり、様々な症状が現れます。代表的な症状としては、少し動いただけでも息が切れたり、心臓がドキドキする動悸、疲れやすい、立ちくらみ、めまいなどが挙げられます。これらの症状は、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。また、肺の機能低下により、咳や痰などの呼吸器系の症状が現れることもあります。心肺気虚の原因は様々ですが、働きすぎや精神的な負担、長く続く病気、年齢を重ねることによる体の衰えなどが考えられます。また、生まれつき体が弱い人も心肺気虚になりやすい傾向があります。東洋医学では、心肺気虚のような症状は、体だけの問題として捉えるのではなく、心と体のバランスが崩れた状態だと考えます。そのため、治療においては、心身の調和を取り戻すことを重要視します。体質や症状に合わせて、漢方薬や鍼灸治療などを用い、不足している「気」を補い、心肺の機能を高めることで、健康な状態へと導きます。
風邪

寒痰阻肺證:冬の呼吸器トラブル

寒痰阻肺證とは、東洋医学の考え方で、肺に冷えた痰が詰まっている状態を指します。まるで肺という大切な呼吸の通り道に、冷えて固まった粘り気が強いゼリーが詰まっている様子を想像してみてください。このゼリー状の痰が、スムーズな空気の出入りを邪魔するため、様々な呼吸器の不調を引き起こすのです。寒痰阻肺證は、特に冬の寒い時期に起こりやすいとされています。冷たい空気を吸い込むことで、肺が冷やされ、痰がより固まりやすくなるためです。また、普段から冷え性の方や、水分の代謝が苦手な方は、この病態になりやすい傾向があります。体の中に余分な水分が溜まりやすく、それが冷えによって痰へと変化しやすいためです。主な症状としては、咳、痰、息苦しさなど、呼吸器系のトラブルが挙げられます。咳は、体外に痰を排出するために起こる反応で、痰は、白く粘り気が強いのが特徴です。また、息苦しさは、痰が肺の気道を狭くすることで起こり、呼吸が浅く、苦しく感じます。さらに、寒痰阻肺證は、呼吸器系だけでなく、全身にも影響を及ぼすことがあります。冷えやむくみ、食欲不振、倦怠感なども、寒痰阻肺證に伴う症状として現れることがあります。これは、肺の機能低下が、体全体の気の巡りを滞らせることに繋がるためです。風邪と似た症状もありますが、風邪は一過性の病気である一方、寒痰阻肺證は体質や生活習慣が深く関わっているため、根本的な改善には、生活習慣の見直しや体質改善が必要です。東洋医学では、一人一人の体質や症状に合わせて、漢方薬や鍼灸治療などを用いて、体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、寒痰阻肺證を改善していきます。例えば、体を温める作用のある漢方薬や、ツボを刺激することで気の巡りを良くする鍼灸治療などが効果的です。また、普段の生活では、体を冷やさないように温かい食事を心がけたり、適度な運動で血行を促進したりすることも大切です。
その他

百日咳に似た症状、百晬內嗽とは?

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ体が十分に発達しておらず、様々な特有の症状が現れることがあります。その一つに、生後百日くらいまでの赤ちゃんに見られる「百晬内嗽(ひゃくじゅつないそう)」と呼ばれる症状があります。これは、痰を伴う咳や喘鳴(ぜんめい)を主な症状とするものです。大人の乾いた咳とは異なり、百晬内嗽の咳は、ゼコゼコと痰が絡んだ湿った咳であることが特徴です。まるで水が喉に詰まっているかのような、苦しそうな咳をすることがあります。また、呼吸をするたびにヒューヒュー、ゼーゼーといった音が聞こえる喘鳴もよく見られます。これは、赤ちゃんの気道が狭くなっていることを示しています。これらの症状は、呼吸機能が未発達な赤ちゃんにとって大きな負担となります。呼吸が苦しくなり、ミルクを十分に飲めなくなったり、ぐっすり眠れなくなったりすることもあります。さらに、呼吸困難に陥る危険性もあるため、注意が必要です。特に、授乳後や夜間、早朝など、体の冷えやすい時間帯に症状が悪化しやすい傾向があります。赤ちゃんの咳や呼吸の様子に常に気を配り、少しでも異変を感じたら、すぐに医師に相談することが大切です。「ただの風邪だろう」と自己判断せず、専門家の意見を仰ぎましょう。症状が軽い場合でも、適切な診断と治療を受けることで、重症化を防ぎ、赤ちゃんの健康を守ることができます。東洋医学では、赤ちゃんの体質や症状に合わせて、小児鍼や漢方薬などを用いて治療を行います。保護者の方と連携を取りながら、赤ちゃんの健やかな成長をサポートしていきます。