その他 呼吸を楽にする瀉肺平喘
東洋医学では、呼吸がつらい、息苦しいといった呼吸困難は、肺の働きが弱まり、気がスムーズに巡らなくなっている状態だと考えます。この滞りを「邪気」と呼び、体の中に邪気が溜まることで様々な不調が現れます。呼吸困難を引き起こす邪気には、風邪などの外邪や、体内で生じる水毒、熱、痰などがあります。これらの邪気は、肺の働きを阻害し、呼吸を浅く、苦しくしてしまいます。呼吸困難を改善するために、東洋医学では「瀉肺平喘(しゃはいへいぜん)」という治療法を用います。瀉肺平喘とは、肺に溜まった邪気を体外へ排出し、肺の働きを正常に戻す治療法です。具体的には、肺の気を巡らせるツボに鍼やお灸を施したり、体に溜まった余分な水分や熱を取り除く生薬を処方したりします。まるで、風通しの悪い部屋に窓を開け、新鮮な空気を入れ替えるように、肺の環境を整え、呼吸の通り道をスムーズにすることを目指します。例えば、咳や痰を伴う呼吸困難の場合、肺に熱や湿気がこもっていると診断し、熱や湿気を取り除く生薬を用います。また、空気が乾燥している時期に起こる呼吸困難は、肺の乾燥が原因と考え、肺を潤す生薬を処方します。このように、東洋医学では、一人ひとりの体質や症状に合わせて、治療法を調整します。西洋医学では対処療法が中心となるのに対し、東洋医学は根本的な原因を取り除き、体のバランスを整えることで、呼吸困難を改善し、再発を防ぐことを目指します。また、呼吸困難は、精神的な緊張やストレスとも密接に関係しています。東洋医学では、心と体は繋がっていると捉え、心の状態も重視します。そのため、精神的なケアも合わせて行うことで、より効果的に呼吸困難を改善することができます。
