その他 風を払い絡脈を通す:祛風通絡の世界
絡脈とは、東洋医学において経脈とともに人体を流れる重要な通路のひとつであり、経脈から枝分かれして全身にくまなく張り巡らされた、網の目のように細かい通路のことを指します。まるで植物の根が大地に広がるように、絡脈は体内の隅々まで広がり、組織や器官へ栄養とエネルギーを送り届ける役割を担っています。主な経脈から分岐した絡脈は、経脈が運ぶ生命エネルギー(気)や血液、津液などを体の隅々まで行き渡らせ、組織や器官を養います。大きな川から分かれる小川や用水路のように、経脈という主要な通路から絡脈へとエネルギーが流れ込み、体内の細部まで潤沢に栄養を供給することで、健康を維持しています。また、絡脈は経脈がカバーしきれない細部にまで到達するため、組織と器官の機能維持に重要な役割を果たしていると考えられています。絡脈は、単に栄養を供給するだけでなく、体内に生じた老廃物を回収し、排泄を促す役割も担っています。絡脈の滑らかな流れによって、不要な物質は滞ることなく体外へと排出され、体内環境の浄化に貢献しています。このことから、絡脈の働きは、体の隅々まで栄養を届けると同時に、老廃物を除去するという、人体における重要な二つの機能を担っていると言えるでしょう。もし絡脈の流れが滞ってしまうと、気や血液、津液の流れも阻害され、様々な体の不調につながると考えられています。栄養が行き渡らず、老廃物が蓄積することで、痛みやしびれ、冷えなどの症状が現れることがあります。東洋医学では、これらの不調を改善するために、絡脈の流れをスムーズにする治療法が用いられています。例えば、鍼灸治療や按摩、漢方薬などが、絡脈の機能を整え、健康を回復させるために役立てられています。
