乾癬:東洋医学からの理解とケア

乾癬:東洋医学からの理解とケア

東洋医学を知りたい

先生、『牛皮癬』って、牛の皮みたいな皮膚の病気ってことですか?

東洋医学研究家

そうだね、まさにその通り。『牛の皮』のように見えることからその名前がついたんだよ。硬くて、表面がカサカサした感じの皮膚になるんだ。ただ、牛から人にうつる病気ではないので安心してね。

東洋医学を知りたい

牛からうつるんじゃないんですね!じゃあ、どうしてなるんですか?

東洋医学研究家

それはまだはっきりとは解明されていないんだけど、生まれつきの体質や、生活習慣、ストレスなどが関係していると考えられているよ。皮膚の表面が赤く盛り上がって、そこに銀白色のかさぶたができるのが特徴だね。そして、とてもかゆいんだ。

牛皮癬とは。

東洋医学で使われる『牛皮癬』という言葉について説明します。牛の皮革のように見える、かゆみのある苔癬に似た発疹の斑点を特徴とする、長く続く皮膚の病気のことです。神経皮膚炎とも呼ばれます。

乾癬とは何か

乾癬とは何か

乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり、その上に銀白色のかさぶたのようなものができる、慢性の皮膚の病気です。このかさぶたは、皮膚の一番外側の層である表皮の細胞が異常に早く増殖し、はがれ落ちることで生じます。このため、皮膚が赤く炎症を起こし、強いかゆみを伴うこともあります。かゆみは、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。

西洋医学では、乾癬の原因は免疫の異常と考えられており、免疫を抑える薬などが用いられます。一方、東洋医学では、乾癬は体全体の調和が乱れた結果、皮膚に症状が現れたものと考えます。東洋医学では、人間の体は「気」「血」「水」の3つの要素で成り立っており、これらのバランスが崩れると病気が発症すると考えます。乾癬の場合、「血」の滞りや「熱」の発生、「風」や「湿」などの外邪の侵入などが原因となることがあります。

東洋医学の治療では、体質や生活習慣、症状などを総合的に見て、根本原因に合わせた治療を行います。例えば、血の滞りには血行を良くする漢方薬を使用したり、熱を冷ます食材を積極的に摂るよう指導したりします。また、外邪の影響を避けるために、冷えや湿気に注意する生活習慣の改善も重要です。鍼灸治療も有効です。特定のツボを刺激することで、気の流れを整え、皮膚の炎症を抑える効果が期待できます。東洋医学の治療は、体全体のバランスを整えることで、乾癬の症状を改善し、再発を防ぐことを目指します。西洋医学の治療と併用することで、より効果を高めることも可能です。症状や体質に合わせた適切な治療法を選択することが重要です。

項目 内容
疾患名 乾癬
症状 皮膚の赤み、盛り上がり、銀白色のかさぶた、強いかゆみ
西洋医学的解釈 免疫の異常による表皮細胞の異常増殖
東洋医学的解釈 気・血・水のバランスの乱れ、血の滞り、熱の発生、風・湿などの外邪の侵入
東洋医学的治療法 漢方薬、食事療法、生活習慣の改善、鍼灸治療
東洋医学的治療の目的 体全体のバランスを整え、症状改善と再発防止

東洋医学における乾癬の捉え方

東洋医学における乾癬の捉え方

東洋医学では、乾癬は体の内側の不調が皮膚に現れたものと考えます。西洋医学のように単に皮膚の炎症を抑えるのではなく、体全体のバランスを整えることで、乾癬の根本的な改善を目指します

乾癬の症状が現れる背景には、「血熱」「血燥」「血瘀」といった病態が関わっていると考えられています。「血熱」とは、過剰な熱が体内にこもり、血液が熱を帯びた状態です。この熱が皮膚に影響を与え、赤い発疹やかゆみといった症状を引き起こします。辛い物や脂っこい物の摂り過ぎ、過労、ストレスなどが原因で血熱が生じやすくなります。

「血燥」とは、血液の潤いが不足した状態です。体内の水分が不足すると、皮膚も乾燥しやすくなり、鱗屑やひび割れが生じます。乾燥した気候や、水分摂取の不足、加齢などが血燥を招きます。

「血瘀」とは、血液の流れが滞った状態のことです。血行不良により、皮膚に栄養が行き渡らず、古い皮膚が厚く積み重なって盛り上がり、慢性的な症状につながると考えられています。冷え性や運動不足、長時間の同じ姿勢などが血瘀の原因となります。

これらの病態は、体質や生活習慣、精神的なストレス、食生活など、様々な要因が複雑に絡み合って生じます。そのため、東洋医学では、一人ひとりの体質や症状、生活習慣などを丁寧に診て、その人に合った治療法を選びます。漢方薬や鍼灸治療などで、体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、乾癬の根本的な改善を目指します。また、食事や生活習慣の指導も行い、再発しにくい体づくりをサポートします。

病態 状態 症状 原因
血熱 過剰な熱が体内にこもり、血液が熱を帯びた状態 赤い発疹やかゆみ 辛い物や脂っこい物の摂り過ぎ、過労、ストレスなど
血燥 血液の潤いが不足した状態 鱗屑やひび割れ 乾燥した気候や、水分摂取の不足、加齢など
血瘀 血液の流れが滞った状態 皮膚に栄養が行き渡らず、古い皮膚が厚く積み重なって盛り上がり 冷え性や運動不足、長時間の同じ姿勢など

乾癬に対する東洋医学的アプローチ

乾癬に対する東洋医学的アプローチ

乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり、銀白色のかさぶたを伴う慢性の皮膚疾患です。現代医学では、その原因ははっきりと解明されていませんが、免疫の異常などが関わっていると考えられています。東洋医学では、体内のバランスの乱れが乾癬の根本原因であると考え、身体全体の調和を取り戻すことを治療の目的とします。

東洋医学における乾癬治療の代表的な手法は、漢方薬、鍼灸、食事療法です。漢方薬は、患者の体質や症状に合わせて、様々な生薬を組み合わせて用います。「血熱(けつねつ)」と呼ばれる血液の熱が過剰な状態には、熱を冷ます生薬を用いて炎症を抑えます。また、「血燥(けっそう)」と呼ばれる血液の乾燥状態には、潤いを与える生薬で皮膚の状態を改善します。さらに、「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血液の滞りがある場合には、血液の流れを良くする生薬を処方します。これらの生薬を組み合わせることで、体質を改善し、乾癬の症状を根本から治癒することを目指します。

鍼灸治療は、経絡と呼ばれるエネルギーの通り道にある特定のツボ(経穴)に鍼を刺したり、お灸で温めたりすることで、気の巡りを整え、皮膚の炎症を鎮め、自然治癒力を高めます。

食事療法も重要な役割を果たします。東洋医学では、食物の性質が身体に大きな影響を与えると考えます。乾癬の症状を悪化させる可能性のある、脂っこいもの、甘いもの、辛いもの、アルコールなどは控えるべきです。反対に、緑黄色野菜、果物、海藻、きのこ類など、皮膚や血液の状態を良くする食べ物を積極的に摂ることが大切です。これらの食事療法と漢方薬、鍼灸治療を組み合わせることで、相乗効果が期待できます。

乾癬の治療は、長期的な視点が必要です。根気強く治療を続けることで、症状の改善、再発の予防につながります。

項目 東洋医学的解釈 治療法
根本原因 体内のバランスの乱れ 身体全体の調和を取り戻す
漢方薬 血熱(けつねつ):血液の熱が過剰 熱を冷ます生薬
血燥(けっそう):血液の乾燥状態 潤いを与える生薬
瘀血(おけつ):血液の滞り 血液の流れを良くする生薬
鍼灸治療 経絡(エネルギーの通り道)上のツボ(経穴)への刺激 気の巡りを整え、皮膚の炎症を鎮め、自然治癒力を高める
食事療法 控えるべき:脂っこいもの、甘いもの、辛いもの、アルコール 皮膚や血液の状態を良くする
推奨:緑黄色野菜、果物、海藻、きのこ類
治療期間 長期的な視点が必要

生活習慣の改善

生活習慣の改善

乾癬は、皮膚に赤みやかさぶたが生じる慢性の皮膚疾患です。この症状を和らげ、再発を防ぐためには、日々の暮らし方を改めて見直すことが重要です。皮膚の表面的なケアだけでなく、体全体の調子を整えることで、乾癬の改善を目指します。

まず、質の高い睡眠を十分に確保しましょう。睡眠不足は体の抵抗力を弱め、乾癬の悪化につながることがあります。毎日同じ時間に寝起きし、眠る前はリラックスする時間を作るなど、睡眠の質を高める工夫をしましょう。

次に、バランスの良い食事を心がけましょう。特定の食品が直接乾癬を引き起こすわけではありませんが、栄養バランスの偏りは体の機能を低下させ、症状の悪化を招く可能性があります。新鮮な野菜や果物、良質なたんぱく質などをバランス良く摂り、体の内側から健康を保ちましょう。また、お酒や刺激物の摂り過ぎは症状を悪化させる場合があるので、注意が必要です。

適度な運動も大切です。軽い散歩やストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすことで、血行が促進され、皮膚の新陳代謝も活発になります。ただし、過度な運動は逆に症状を悪化させることもあるため、自分の体調に合わせて行うようにしましょう。

乾癬は、精神的なストレスの影響を受けやすいと言われています。ストレスを溜め込むと症状が悪化したり、再発しやすくなる可能性があります。趣味を楽しんだり、リラックスできる時間を作ったり、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。

皮膚の乾燥も乾癬の症状を悪化させる要因の一つです。入浴後は特に皮膚が乾燥しやすいため、お風呂上がりにはすぐに保湿剤を塗るようにしましょう。保湿剤は、刺激の少ないものを選び、皮膚に優しくなじませるように塗布します。また、衣類や洗剤なども、皮膚に刺激を与える可能性があるため、天然素材の衣類や刺激の少ない洗剤を選ぶなど、肌への負担を減らす工夫をしましょう。

このように、規則正しい生活を送り、心身ともに健康な状態を保つことで、乾癬の症状を改善し、再発を防ぐことに繋がります。焦らず、地道な努力を続けることが大切です。

生活習慣の改善

心の状態と乾癬の関係

心の状態と乾癬の関係

東洋医学では、心と体は一つと捉え、互いに影響し合っていると考えます。そのため、心の状態が皮膚に表れることは珍しくなく、乾癬もその一つです。精神的な負担、例えば、過剰な心配事や悲しい出来事、怒りなどを長期間抱えていると、体の内側で「気」の流れが滞ってしまうことがあります。この「気」の乱れは、体全体の調和を崩し、乾癬の症状を悪化させる要因の一つとなり得ます。

具体的には、ストレスによって「気」が停滞すると、皮膚に熱がこもったり、血の流れが悪くなったりすると考えられています。そして、これらの変化が乾癬の炎症を悪化させ、赤みや痒み、鱗屑といった症状を強くしてしまうのです。

ですから、乾癬の症状を和らげ、再発を防ぐためには、心身ともに健康な状態を保つことが重要です。日頃から、自分自身を労わり、心穏やかに過ごす工夫をしてみましょう。例えば、好きな音楽を聴いたり、美しい景色を眺めたり、温かいお風呂にゆっくり浸かったりするのも良いでしょう。また、気功や太極拳といったゆったりとした運動も「気」の流れを整えるのに効果的です。

さらに、周りの人に相談したり、趣味に没頭したりすることで、心の負担を軽くすることも大切です。自分にとって心地良いと感じる方法で、ストレスをうまく解消していくことが、乾癬の症状改善、そして再発予防に繋がります。焦らず、じっくりと自分と向き合い、心と体のバランスを整えていきましょう。

心の状態と乾癬の関係

専門家への相談

専門家への相談

肌の赤みや盛り上がり、かゆみなど、乾癬の症状でお悩みの方は少なくありません。つらい症状に、どう対処すればいいのか分からず、途方に暮れている方もいるかもしれません。もし、あなたが乾癬でお悩みなら、自己判断で市販薬などを使用するのではなく、東洋医学の専門家に相談することをお勧めします。

西洋医学では、乾癬は免疫の異常が原因で皮膚に炎症が起こる病気と考えられており、ステロイド外用薬や免疫抑制剤などが処方されることが多いようです。しかし、東洋医学では、体全体の調和が崩れた結果として乾癬が発症すると考えます。そのため、東洋医学の専門家は、あなたの体質や症状、生活習慣、食生活などを詳しく診て、体全体のバランスを整えることを目指します。まるで、一人ひとりに合ったオーダーメイドの洋服を仕立てるように、あなたに最適な治療法を提案してくれるのです。

具体的には、体質に合わせた漢方薬の処方や、ツボを刺激して体の調子を整える鍼灸治療体の中から健康を作るための食事指導など、様々な角度からサポートを受けることができます。これらの治療法を組み合わせることで、より効果的に乾癬を改善していくことができるでしょう。また、専門家は、治療だけでなく、乾癬の再発を予防するための生活習慣の改善についても具体的なアドバイスをくれます。例えば、睡眠の質を高める方法や、ストレスを解消するための方法、バランスの取れた食事の摂り方などを丁寧に指導してくれるでしょう。

乾癬は慢性的な病気であり、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すこともあります。一人で悩まず、東洋医学の専門家の力を借りて、乾癬と上手に付き合っていく方法を見つけていきましょう。専門家は、あなたの良き理解者であり、心強い味方となってくれるはずです。焦らず、じっくりと治療に取り組むことで、きっと明るい未来が見えてくるでしょう。

項目 詳細
相談 自己判断で市販薬などを使用するのではなく、東洋医学の専門家に相談
東洋医学的考え方 体全体の調和が崩れた結果として乾癬が発症すると考え、体質や症状、生活習慣、食生活などを詳しく診て、体全体のバランスを整えることを目指す
治療法 体質に合わせた漢方薬の処方、ツボを刺激する鍼灸治療、体の中から健康を作るための食事指導など
生活習慣の改善 睡眠の質を高める方法、ストレスを解消するための方法、バランスの取れた食事の摂り方などの指導
専門家の役割 良き理解者、心強い味方、乾癬と上手に付き合っていく方法を一緒に考えてくれる存在