乾癬:東洋医学からの考察

乾癬:東洋医学からの考察

東洋医学を知りたい

先生、『乾癬』って言葉の意味がよくわからないんです。なんとなく皮膚の病気だってことはわかるんですが…

東洋医学研究家

そうだね。『乾癬』は皮膚の病気だよ。簡単に言うと、皮膚がかさかさして厚くなり、ひび割れができたり、皮膚がはがれ落ちたりする病気のことだ。それに、とてもかゆいのが特徴なんだ。

東洋医学を知りたい

なるほど。皮膚がかさかさになるだけじゃなくて、厚くなったり、ひび割れたりするんですね。湿疹とは違うんですか?

東洋医学研究家

そうだね、慢性湿疹と乾癬は症状が似ているので混同しやすいけれど、東洋医学では乾癬はより皮膚が固く肥厚する点が特徴とされているんだ。もちろん、自己判断はせずに、皮膚に異常を感じたら医師の診断を受けることが大切だよ。

乾癬とは。

東洋医学で使われる『乾癬』という言葉について説明します。乾癬は、皮膚がかさぶたのように厚くなり、ひび割れ、そして垢のように剥がれ落ちる皮膚の病気です。かゆみも伴います。この病気は長く続き、慢性湿疹や神経性皮膚炎と呼ばれることもあります。

乾癬とは

乾癬とは

乾癬は、皮膚に赤み、盛り上がり、そして銀白色の薄皮(剥がれ落ちる皮膚の表面)を伴う、長く続く皮膚の病気です。かゆみも、この病気の特徴的な症状の一つです。この薄皮は、皮膚の新陳代謝が異常に速まることで起こります。通常、皮膚の細胞は約一ヶ月かけて表面まで上がってきて剥がれ落ちますが、乾癬の場合はこの周期が数日ととても速いため、未熟な細胞が薄皮となって剥がれ落ちてしまうのです。

この皮膚の炎症は、肘、膝、頭皮、腰などに起こりやすいですが、体全体に症状が現れることもあります。乾癬は見た目にも変化が分かりやすいため、日常生活にも影響を与えることがあります。例えば、人前で肌を露出することに抵抗を感じたり、かゆみにより集中力が低下したりするなど、精神的な負担を感じる方も少なくありません。また、衣服の摩擦によって症状が悪化することもあります。

さらに、乾癬の中には関節炎を併発するケースもあり、関節の痛みや腫れが生じることもあります。関節が炎症を起こすと、朝のこわばりや動かしにくさを感じ、日常生活に支障をきたす場合もあります。乾癬は、完全に治すことが難しい病気ですが、適切な治療を続けることで症状を抑え、日常生活への影響を少なくすることができます。漢方医学では、体質や症状に合わせて、体の内側から調子を整えることで、皮膚の炎症を抑え、新陳代謝の乱れを改善することを目指します。また、日常生活における養生指導も治療の一環として重要視されています。

項目 詳細
症状 皮膚の赤み、盛り上がり、銀白色の薄皮(剥がれ落ちる皮膚の表面)、かゆみ、肘、膝、頭皮、腰などに出やすい、体全体に症状が現れることもある、関節炎を併発するケースもある(関節の痛み、腫れ、朝のこわばり、動かしにくさ)
原因 皮膚の新陳代謝が異常に速まる(通常は約一ヶ月かけて表面まで上がってきて剥がれ落ちるが、乾癬の場合は数日ととても速い)
日常生活への影響 人前で肌を露出することに抵抗、かゆみにより集中力低下、衣服の摩擦によって症状悪化、関節炎による日常生活への支障
治療 完治は難しいが、適切な治療で症状を抑える、漢方医学:体質や症状に合わせた体の内側からの調子を整える、皮膚の炎症を抑える、新陳代謝の乱れを改善、日常生活における養生指導

東洋医学的考え方

東洋医学的考え方

東洋医学では、乾癬は体全体の調和が乱れた時に現れる症状の一つと考えられています。西洋医学のように病巣だけに注目するのではなく、体全体の繋がりを重視するのが特徴です。特に、乾癬は「血(けつ)」の流れの滞りや「熱」の過剰が密接に関係していると捉えます。「血」とは、全身に栄養を運ぶ大切なもので、食べ物から作られる気や水と合わさり全身を巡ります。この「血」の流れが滞ると、皮膚に必要な栄養が届かず、乾燥したり炎症を起こしやすくなると考えられています。まるで、川の流れが滞ると、下流に水が行き渡らなくなるのと同じです。また、「熱」は体内で過剰になると、炎症や赤み、かゆみを引き起こすと考えられています。これは、火が燃え盛ると周囲が熱くなる様子に例えられます。乾癬の赤い発疹やかゆみは、まさにこの「熱」の過剰が皮膚に現れたものと捉えられます。「血」の滞りと「熱」の過剰は、互いに影響し合い、乾癬の症状を悪化させると考えられています。さらに、東洋医学では、目には見えない心の状態も体に大きな影響を与えると考えます。強い不安や悩み、怒りなどの精神的なストレスは、気の流れを乱し、「血」の滞りや「熱」の発生を助長すると考えられています。また、普段の食事も体質に大きく関わると考えます。脂っこいものや辛いもの、甘いものの摂り過ぎは、「熱」を発生させやすく、乾癬を悪化させる要因となります。反対に、バランスの良い食事は、「血」の流れを良くし、健康な皮膚を保つのに役立ちます。このように、東洋医学では、体質、心の状態、生活習慣など、様々な要因が複雑に絡み合い、乾癬を発症または悪化させると考え、一人ひとりの状態に合わせて、これらのバランスを調整することで、乾癬の改善を目指します。

治療方法

治療方法

乾癬(かんせん)は、皮膚が赤く盛り上がり、白い粉のようなものが付着する慢性の皮膚疾患です。東洋医学では、この症状は体内の気の乱れや血(けつ)の滞り、熱の発生などが原因と考えられています。そのため、治療は根本的な体質改善を目指し、一人ひとりの状態に合わせた漢方薬や鍼灸を用いて行います。

漢方薬は、自然界の植物や鉱物などを組み合わせたものです。乾癬の場合、炎症を抑える、血の流れを良くする、体に溜まった熱を取り除くといった目的で、それぞれの症状や体質に合った漢方薬が選ばれます。例えば、皮膚の赤みが強く炎症が激しい場合は、熱を冷ます作用のある生薬を配合した漢方薬が用いられます。また、患部が乾燥して痒みが強い場合は、血行を促進し皮膚に潤いを与える生薬を含む漢方薬が処方されます。

鍼灸治療は、体にある特定の点(経穴けいけつ、いわゆるツボ)に鍼を刺したり、もぐさを燃やして温熱刺激を与えることで、気の巡りを整え、自然治癒力を高めることを目的としています。乾癬に対しては、皮膚の代謝を促し、炎症を鎮める効果が期待できます。

これらの治療法は単独で行うこともありますが、漢方薬と鍼灸を併用することで、より高い効果が得られることが多いです。さらに、東洋医学では、日常生活の養生も重要視されます。バランスの良い食事を摂り、適度な運動を行い、十分な睡眠をとることで、体質改善を促し、乾癬の症状緩和を目指します。規則正しい生活習慣を身につけ、心身ともに健康な状態を保つことが、乾癬の再発予防にも繋がります。

治療方法

日常生活の注意点

日常生活の注意点

乾癬(かんせん)は、皮膚に炎症を起こし、赤みや鱗屑(りんせつ)が生じる疾患です。東洋医学では、この症状は体内の過剰な熱や湿邪、血の滞りなどが原因と考えられています。そのため、日常生活においてもこれらの悪化要因を避けるよう心がけることが大切です。

まず、皮膚への刺激は症状を悪化させる大きな要因となります。刺激の強い石鹸や洗剤は避け、天然成分で作られたものを使用するようにしましょう。また、熱いお風呂に長時間浸かることは、皮膚の乾燥を招き、痒みを増強させるため控えましょう。ぬるめの湯で短時間にするか、シャワーで済ませるのも良いでしょう。皮膚を清潔に保つことは重要ですが、洗いすぎも禁物です。過度な洗浄は皮膚に必要な皮脂まで洗い流し、乾燥を悪化させます。

食生活も乾癬の症状に大きく影響します。暴飲暴食は避け、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。特に、脂っこい食事や刺激の強い香辛料は炎症を悪化させるため、控えめにしましょう。また、東洋医学では、乾癬は体内の熱が過剰になっている状態と考えられるため、熱を生み出す性質を持つ辛いものやアルコールの過剰摂取も控えるべきです。新鮮な野菜や果物を積極的に摂り、体内のバランスを整えることが重要です。

さらに、十分な睡眠ストレス管理も大切です。睡眠不足や過度のストレスは、免疫機能を低下させ、乾癬の悪化を招きます。毎日同じ時間に寝起きし、規則正しい生活リズムを保つようにしましょう。リラックスできる時間を取り、ストレスを溜め込まない工夫も必要です。軽い運動や趣味、瞑想なども効果的です。心身ともに健康な状態を維持することが、乾癬の症状をコントロールする上で最も重要と言えるでしょう。

要因 東洋医学的解釈 具体的な対策
皮膚への刺激 熱, 湿邪の悪化
  • 刺激の強い石鹸・洗剤を避け、天然成分のものを使用
  • 熱い風呂に長時間浸かるのを避け、ぬるめの湯かシャワーにする
  • 洗いすぎない
食生活 熱, 湿邪の悪化
  • 暴飲暴食を避け、栄養バランスの良い食事
  • 脂っこい食事、刺激の強い香辛料を控える
  • 辛いもの、アルコールの過剰摂取を控える
  • 新鮮な野菜や果物を積極的に摂る
生活習慣 免疫機能低下
  • 十分な睡眠
  • ストレス管理(規則正しい生活、リラックスできる時間、軽い運動、趣味、瞑想など)

まとめ

まとめ

乾癬は、長く続く皮膚の病気で、完全に治すのは難しいと言われています。しかし、東洋医学の考え方を用いることで、症状を抑え、普段の生活への負担を軽くすることは可能です。東洋医学では、体の全体の調和を何よりも大切に考え、その人の体質や症状に合わせて治療を進めていきます。

漢方薬は、体の内側から調子を整え、皮膚の炎症を抑える働きがあります。症状や体質に合わせて、適切な漢方薬を選び、服用することで、皮膚の状態を改善し、かゆみや赤みなどの症状を和らげることができます。

鍼灸は、体の特定のツボに鍼を刺したり、お灸で温めたりすることで、気の流れや血の巡りを良くし、体の機能を調整します。乾癬の場合は、皮膚に直接鍼を刺すのではなく、関連するツボに施術することで、炎症を抑え、皮膚の再生を促します。

東洋医学では、治療だけでなく、日常生活での過ごし方も大切にしています。皮膚への刺激を避けるため、熱いお風呂に長時間入ったり、きすぎたタオルでゴシゴシこすったりするのは控えましょう。刺激の少ない石鹸やボディーソープを選び、優しく洗うように心がけてください。

バランスの良い食事も大切です。体の調子を整えるためには、色々な種類の食べ物をバランス良く食べることが重要です。特に、野菜や果物、海藻、きのこなど、ビタミンやミネラルが豊富な食べ物を積極的に摂りましょう。脂っこいものや甘いもの、刺激の強いものは控えめにすると良いでしょう。

ストレスは、乾癬の症状を悪化させる要因の一つです。忙しい毎日の中でも、リラックスできる時間を見つけ、ストレスを溜め込まないように工夫しましょう。軽い運動や趣味、ゆっくりとお風呂に浸かるなど、自分に合った方法でストレスを発散することが大切です。

乾癬でお困りの方は、東洋医学の専門家に相談し、症状や体質に合った治療法を見つけることで、より快適な生活を送ることができるでしょう。

項目 詳細
漢方薬 体の内側から調子を整え、皮膚の炎症を抑える。症状や体質に合わせて適切な漢方薬を選択。
鍼灸 気の流れや血の巡りを良くし体の機能を調整。関連するツボに施術することで炎症を抑え、皮膚の再生を促す。
日常生活での過ごし方 皮膚への刺激を避ける。熱いお風呂に長時間入ったり、強いタオルでゴシゴシこすったりするのは控える。刺激の少ない石鹸やボディーソープを選び優しく洗う。
食事 バランスの良い食事を心がける。野菜、果物、海藻、きのこなど、ビタミンやミネラルが豊富な食べ物を摂取する。脂っこいもの、甘いもの、刺激の強いものは控えめにする。
ストレス ストレスは乾癬の症状を悪化させるため、リラックスできる時間を見つけ、ストレスを溜め込まない。軽い運動や趣味、ゆっくりお風呂に入るなど、自分に合った方法でストレスを発散する。