その他 脾痿:東洋医学から見る筋肉の衰え
脾痿(ひい)とは、東洋医学における独特な病名で、脾の働きが弱まることで起こる筋肉の衰えや動きづらさを指します。現代医学でいう筋萎縮性側索硬化症(ALS)や多発性硬化症といった神経や筋肉の病とは、成り立ちが全く違います。東洋医学では、人の体は全て繋がっていて、気・血・津液の流れとバランスが健康を保つ鍵と考えます。この中で、脾は食べ物から「気」を生み出し、体中に栄養を届ける大切な役割を担っています。ちょうど土壌が植物を育むように、脾は体全体の元気の源を作り出すのです。この脾の働きが弱まると、気の流れが滞り、筋肉に栄養が十分に行き渡らなくなります。これが脾痿の根本原因です。まるで植物が水を吸い上げられず、しおれていくように、筋肉も栄養不足で衰えていくのです。脾痿は、単に筋肉が衰えるだけでなく、体全体の気の流れが乱れることで現れる症状の一つと捉えられています。気は生命エネルギーのようなもので、これが滞ると様々な不調が現れます。例えば、食欲不振、疲れやすい、顔色が悪い、お腹が張る、軟便や下痢といった症状も、脾の機能低下に伴って現れることがあります。脾痿の治療では、脾の働きを助けることが重要です。食事療法では、消化しやすい温かいものを摂り、生ものや冷たいもの、脂っこいものは控えます。また、適度な運動や休息も大切です。東洋医学では、一人ひとりの体質や症状に合わせて、漢方薬や鍼灸治療などを組み合わせ、体全体のバランスを整えていくことで、脾痿の改善を目指します。
