由実転虚

記事数:(1)

その他

由實轉虛:病の移り変わり

東洋医学では、体の状態の変化で病気を捉えます。その変化を理解する上で、「由実転虚」は重要な考え方です。これは、病気が進むにつれて、体の状態が「実証」から「虚証」へと変わっていくことを意味します。「実」とは、体に悪い影響を与える「邪気」が過剰な状態を指します。一方、「虚」とは、体を守る力である「正気」が不足した状態を指します。例えば、風邪をひいたときを考えてみましょう。最初の頃は、熱が出て頭が痛んだり、鼻が詰まったりします。これは、風邪の邪気が体に入り込み、邪気が盛んな「実証」の状態です。この段階では、発汗を促し、邪気を体から追い出す治療が有効です。しかし、この時きちんと治さずに放っておくと、病は次第に「虚証」へと変化していきます。だるくて食欲がなくなり、息切れなども起こるようになります。これは、病と闘ううちに正気が消耗してしまったからです。この段階では、正気を補う治療が必要になります。このように、同じ病気でも、時期によって体の状態は変化します。そのため、東洋医学では、その時の状態に合わせて治療法を変えることが大切だと考えます。「由実転虚」は、体の変化を見極めることで、より適切な治療を選び、病気を治していくという、東洋医学の奥深い考え方を象徴するものと言えるでしょう。