
健脾養血:血を養い、健やかな体へ
東洋医学では「脾」は単なる臓器名ではなく、消化吸収、栄養の運搬、水分代謝、血液の生成など、生命活動を支える重要な機能を担う中心的な存在と考えられています。この「脾」の働きが弱まっている状態を「脾虚」と言います。西洋医学の脾臓とは異なり、広範な機能を包含しているため、脾虚の状態になると様々な不調が現れます。
まず、脾虚の代表的な症状として消化器系の不調が挙げられます。脾は食物から栄養を吸収し、全身に運ぶ役割を担っているため、脾虚になると栄養の吸収がうまくいかなくなり、食欲不振、お腹の張り、消化不良、軟便や下痢などを引き起こします。また、栄養が不足すると、疲れやすい、だるい、元気が出ないといった疲労感も現れます。
さらに、脾は体内の水分代謝にも関わっています。脾の機能が低下すると、体内に余分な水分が溜まりやすくなり、むくみ、冷え、下痢などを招きます。また、梅雨の時期に体調を崩しやすいのも、脾虚の特徴です。湿気が多い時期は脾の負担が増し、機能が低下しやすいためです。
さらに、脾は血液の生成にも関与しています。脾虚になると血液生成が滞り、顔色が悪い、唇の色が薄い、めまい、立ちくらみといった症状が現れることがあります。これは、血液が全身に十分に巡らなくなっていることを示しています。
このように、脾虚は様々な症状を引き起こす可能性があります。もしこれらの症状が続くようであれば、東洋医学に基づいた適切な養生法を取り入れることが大切です。食生活の改善、適度な運動、ストレスを溜めない生活を心がけることで、脾の機能を高め、健康な状態を取り戻すことができます。