
肝の気滞り:肝鬱とは?
東洋医学では、肝は体の一部品としてだけでなく、生命活動を支える大切なエネルギーである「気」の流れを調整する重要な役割を担っています。この気のめぐりが滞ってしまう状態を「肝鬱(かんうつ)」と言います。
肝鬱は、精神的な重圧や感情を抑え込むこと、不規則な暮らし方、食事の偏りなど、様々な原因によって起こると考えられています。肝の働きである疏泄(そせつ)は、気のめぐりを滑らかにし、心の状態を安定させたり、食べ物の消化を助けたり、血の流れを良くしたりと、体全体の働きを正常に保つ上で欠かせません。この疏泄のはたらきが妨げられることが肝鬱の根本原因であり、滞った気は心身に様々な影響を及ぼします。
肝鬱の状態が続くと、体全体の気のめぐりが悪くなり、様々な不調が現れる可能性があります。例えば、イライラしやすくなったり、気分が落ち込んだり、怒りっぽくなったりといった心の不調が現れやすいです。また、体に痛みを感じたり、お腹が張ったり、便秘や下痢を繰り返したりといった体の不調も起こりやすくなります。女性の場合は、生理不順や生理痛がひどくなることもあります。
現代社会はストレスが多く、肝鬱の状態になりやすいと言えるでしょう。肝はストレスに弱く、過剰なストレスは肝の疏泄機能を低下させ、気のめぐりを滞らせるからです。ストレスをため込まないよう、自分に合った方法で発散することが重要です。また、規則正しい生活を送り、栄養バランスの良い食事を摂ることも大切です。さらに、適度な運動も気のめぐりを良くする効果があります。これらの生活習慣を改善することで、肝鬱の状態を予防・改善し、心身の健康を保つことができるでしょう。