立ちくらみ 氣厥:情動と気の逆乱
氣厥とは、東洋医学の考え方に基づく病態の一つで、突然意識を失ってしまう厥の中でも、気の巡りの乱れが主な原因と考えられています。この「気」は、生命エネルギーのようなもので、体中に巡り、体と心の様々な働きを支えています。まるで植物に水をやるように、この気が全身に行き渡ることで、私たちは健康を保つことができるのです。氣厥は、この気が正常な流れを失い、本来下へ向かうべき気が上に逆流してしまうことで起こると考えられています。激しい喜怒哀楽や、長期にわたる精神的な負担、過労などが引き金となり、気が乱れ、上逆することで様々な症状が現れます。代表的な症状は突然の意識消失ですが、それ以外にも、心臓がドキドキしたり、息が苦しくなったり、目の前がぐるぐる回ったり、冷や汗をかいたり、顔が青白くなるといった症状を伴うこともあります。これらの症状は、現代医学でいう失神や過呼吸発作と似た部分もありますが、東洋医学では、単なる一時的な意識の消失として捉えるのではなく、体全体の気のバランスが崩れた状態として考えます。西洋医学では症状を抑える対症療法が中心となることが多いですが、東洋医学では、氣厥は体からの大切な警告と捉え、根本的な原因を探り、体質改善を図ることで、再発を防ぐことを目指します。具体的には、気の巡りを整え、心を落ち着かせ、体質を強化する漢方薬や鍼灸治療などが用いられます。日頃から、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、ストレスを溜め込まない生活習慣を送り、心身の調和を保つことが大切です。
