癌 東洋医学から見るがん『巖』
体表に現れる腫瘍の中でも、石のように硬く、触れるとごつごつとした感触を持つものを、東洋医学では『巖』と呼びます。これは、現代医学でいうところの悪性腫瘍、すなわち癌に相当すると考えられています。巖という字が示す通り、まるで岩が皮膚の下に埋まっているかのような硬さを特徴とし、周囲の皮膚や筋肉とは明らかに異なる感触です。初期の段階では、小さなしこりのように感じられることもあります。しかし、そのままにしておくと次第に大きくなり、皮膚の色が赤黒く変わったり、皮膚が破れて潰瘍ができたりすることもあります。東洋医学では、このような腫瘍は、体内の生命エネルギーである『気』の流れが滞り、邪気と呼ばれる悪い気が体内に停滞することで発生すると考えます。西洋医学では、病気を身体の一部分の異常として捉えることが多いですが、東洋医学では、体全体の調和が乱れた結果として病気が現れると考えます。つまり、巖のような腫瘍も、全身のバランスが崩れたサインの一つとして捉えます。そのため、東洋医学の治療では、腫瘍そのものだけを診るのではなく、患者さんの体質や生活習慣、精神状態などを総合的に判断し、根本原因を探ることから始めます。そして、気の流れを整え、邪気を体外へ排出することで、体のバランスを取り戻し、腫瘍の発生を抑えることを目指します。具体的には、漢方薬の服用や鍼灸治療、食事療法、運動療法などを組み合わせて、患者さん一人ひとりに合った治療法を行います。
