東洋医学から見るがん『巖』

東洋医学から見るがん『巖』

東洋医学を知りたい

先生、『巖』ってどういう意味ですか?漢字から、なんとなく岩みたいなものなのかな、とは思いますが。

東洋医学研究家

そうですね、あなたの言うとおり、『巖』は岩のように硬い腫瘍のことです。東洋医学では、体表に現れる悪性腫瘍で、見た目や触った感じが岩のようなものを指します。

東洋医学を知りたい

なるほど。じゃあ、いわゆる癌と同じようなものと考えていいんですか?

東洋医学研究家

癌と考えて差し支えないですが、西洋医学の癌とは診断基準が異なります。東洋医学では、見た目や触診といった方法で判断するので、西洋医学のように詳しく検査するわけではありません。あくまでも、東洋医学の用語として理解しておきましょう。

巖とは。

東洋医学で使われている言葉に『巖』というものがあります。これは、見た目や触った感じが岩のように硬い、体の表面にできる悪性の腫瘍のことです。

岩のような腫瘍

岩のような腫瘍

体表に現れる腫瘍の中でも、石のように硬く、触れるとごつごつとした感触を持つものを、東洋医学では『巖』と呼びます。これは、現代医学でいうところの悪性腫瘍、すなわち癌に相当すると考えられています。巖という字が示す通り、まるで岩が皮膚の下に埋まっているかのような硬さを特徴とし、周囲の皮膚や筋肉とは明らかに異なる感触です。

初期の段階では、小さなしこりのように感じられることもあります。しかし、そのままにしておくと次第に大きくなり、皮膚の色が赤黒く変わったり、皮膚が破れて潰瘍ができたりすることもあります。東洋医学では、このような腫瘍は、体内の生命エネルギーである『気』の流れが滞り、邪気と呼ばれる悪い気が体内に停滞することで発生すると考えます。

西洋医学では、病気を身体の一部分の異常として捉えることが多いですが、東洋医学では、体全体の調和が乱れた結果として病気が現れると考えます。つまり、巖のような腫瘍も、全身のバランスが崩れたサインの一つとして捉えます。そのため、東洋医学の治療では、腫瘍そのものだけを診るのではなく、患者さんの体質や生活習慣、精神状態などを総合的に判断し、根本原因を探ることから始めます。そして、気の流れを整え、邪気を体外へ排出することで、体のバランスを取り戻し、腫瘍の発生を抑えることを目指します。具体的には、漢方薬の服用や鍼灸治療、食事療法、運動療法などを組み合わせて、患者さん一人ひとりに合った治療法を行います。

東洋医学での名称
現代医学での名称 悪性腫瘍(癌)
特徴 石のように硬く、ごつごつした感触。初期は小さなしこり。進行すると大きくなり、皮膚の色が赤黒く変化、潰瘍ができることも。
東洋医学的解釈 気の流れの滞り、邪気の停滞
治療アプローチ 体全体の調和を重視。患者さんの体質、生活習慣、精神状態を総合的に判断。気の流れを整え、邪気を体外へ排出。
治療方法 漢方薬、鍼灸治療、食事療法、運動療法など

体の不調和

体の不調和

東洋医学では、人の体は大きな自然の一部と考え、自然界と同じように陰陽五行の考え方に基づいた均衡の上に成り立っていると見ます。この陰陽のバランス、木火土金水の五つの要素の調和が乱れると体に様々な不具合が生じ、その一つとして岩のように硬い腫瘍ができると考えられています。

では、どのようなことが原因でこのバランスが崩れるのでしょうか。現代社会においては、働き過ぎや睡眠時間が足りないこと、食事の偏りといった日々の暮らし方の乱れが大きな要因となります。また、心労や環境の変化なども体のバランスを崩す原因となります。これらが積み重なると、体内のエネルギーである「気」の流れが滞り、血の巡りが悪くなったり、体の働きが衰えたりします。そして、不要な物や体に悪いものが体内に溜まりやすくなります。東洋医学では、これらの不要な物や体に悪いものが、腫瘍という形で体の表面に現れると考えられています。

つまり、岩のように硬い腫瘍は、単にその場所にできた病気ではなく、体全体の調和が乱れた結果なのです。したがって、腫瘍を治すためには、腫瘍だけを取り除くのではなく、体全体のバランスを整え、「気」の流れを良くすることが大切です。体全体のバランスを整えるためには、食事内容を見直し、旬の食材を積極的に摂り入れる、十分な睡眠時間を確保する、適度な運動を心がけるなど、生活習慣の改善が重要です。また、精神的なストレスを軽減するために、リラックスする時間を作ったり、趣味に没頭したりすることも効果的です。自然のリズムに合わせた生活を送り、心身ともに健康な状態を保つことで、体の不調和を防ぎ、腫瘍の発生を予防することに繋がります。

体の不調和

治療の考え方

治療の考え方

東洋医学では、病気を診るのではなく、病人を診るという考え方が基本にあります。そのため、同じ病気であっても、人によって体質や症状が異なるため、一人ひとりに合わせた治療が必要になります。これを『オーダーメイドの治療』と言います。

例えば、体の一部に異常が生じた場合でも、東洋医学では、体全体のバランスが崩れた結果として捉えます。ですから、患部だけを治療するのではなく、全身の調和を取り戻すことを目指します。そのために、漢方薬、鍼(はり)、灸(きゅう)、推拿(すいな)、食養生など、様々な方法を組み合わせて治療を行います。

漢方薬は、自然由来の生薬を組み合わせて作られます。それぞれの生薬の持つ力を組み合わせることで、体の内側からバランスを整え、病気を根本から治していくことを目指します。気の流れを良くすることで、体の不調を取り除き、健康な状態へと導きます。

鍼灸は、経穴(けいけつ)と呼ばれる特定のツボに鍼を刺したり、もぐさを燃やして温熱刺激を与えたりする治療法です。ツボを刺激することで、気の流れを調整し、痛みや炎症を抑えたり、体の機能を回復させたりする効果が期待できます。

推拿は、手技による治療法で、いわば東洋医学のマッサージです。筋肉や関節をもみほぐしたり、押したりすることで、血行を良くし、体の凝りや痛みを和らげます。

食養生は、毎日の食事を通して健康を維持・増進する方法です。バランスの良い食事を摂ることで、体の内側から健康を支え、病気を予防する効果が期待できます。

これらの治療法は、単独で用いられることもありますが、組み合わせて行うことでより高い効果が得られると考えられています。例えば、漢方薬で体質を改善しながら、鍼灸で痛みを和らげ、推拿で血行を促進し、食養生で体の調子を整える、といったように、多角的にアプローチすることで、全身の健康を目指します。

治療の考え方

生活習慣の改善

生活習慣の改善

東洋医学では、病気を治すだけでなく、病気にならないようにすることも大切に考えています。病気の芽を摘み、再び病にならないようにするためには、日々の暮らし方をより良いものに変えていくことが欠かせません。特に、バランスの良い食事、程良い運動、たっぷりの睡眠、そして心に負担をかけすぎない暮らしを心がけることが大切です。

食事は、その時期に採れる食べ物をまんべんなく取り入れ、食べ過ぎ飲み過ぎを避け、お腹が八分目ほどで箸を置くようにしましょう。旬の食材は、その季節に必要な栄養素を豊富に含んでいます。また、食べ過ぎは胃腸に負担をかけ、体の働きを弱める原因となります。

程良い運動は、血液の流れを良くし、体のエネルギーである「気」の流れを滑らかにする効果があります。激しい運動ではなく、散歩やゆったりとした体操など、無理なく体を動かす習慣を身に付けましょう。毎日続けることで、心身ともに健康な状態を保つことができます。

睡眠は、体を休め、元気を取り戻すために必要不可欠です。毎日同じ時刻に寝て起きることで、体のリズムを整え、質の高い睡眠を得られるように心がけましょう。良質な睡眠は、心身の疲れを癒し、免疫力を高める効果があります。

心に負担をかけることは、体の抵抗力を弱め、様々な病気を招く原因となります。好きなことやリラックスできる活動を通して、心にゆとりを持つことが大切です。例えば、音楽を聴いたり、読書をしたり、自然の中で過ごしたりするなど、自分に合った方法で心を落ち着かせましょう。

これらの暮らし方の改善は、特定の病気だけでなく、様々な病気の予防に繋がります。日頃から健康を意識し、健やかな毎日を送るように心がけましょう。

項目 詳細 効果
食事 旬の食材をバランス良く取り入れ、腹八分目を心がける 必要な栄養素を摂取し、胃腸への負担を軽減
運動 散歩や体操など、無理のない運動を継続する 血行促進、気の流れを滑らかにする
睡眠 毎日同じ時間に寝起きし、質の高い睡眠を確保する 疲労回復、免疫力向上
心のケア 音楽、読書、自然など、自分に合った方法でリラックスする ストレス軽減、抵抗力向上

心の状態

心の状態

東洋医学では、心と体は一つと考えられており、心の状態が体に大きな影響を及ぼすと考えられています。心の状態が健やかであれば、気血の流れも滑らかになり、体全体に栄養が行き渡り、健康な状態を保つことができます。しかし、過度な喜びや怒り、悲しみ、恐れ、考え過ぎといった感情の乱れは、気の流れを滞らせ、様々な体の不調につながると考えられています。

たとえば、喜びすぎると気が緩み、注意散漫になりやすくなります。また、怒りは気を上昇させ、高血圧や頭痛などを引き起こすことがあります。悲しみは気を消耗させ、元気をなくし、免疫力を低下させる可能性があります。恐れは気を縮め、下痢や頻尿などの症状を招くことがあります。そして、考え過ぎは気を滞らせ、胃腸の不調や不眠などを引き起こすことがあります。

特に、岩のような固い腫瘍は、長年のストレスや抑え込んだ感情が積み重なることで出来やすくなると考えられています。岩のように固く、動かない腫瘍は、まるで感情を押し込め、固めてしまった心の状態を反映しているかのようです。

そのため、腫瘍の治療や予防には、心の状態を整えることがとても大切です。穏やかな気持ちで過ごすことで、気の流れが滑らかになり、体の不調を改善し、腫瘍の発生を予防することに繋がります。瞑想や呼吸法、自然の中で過ごすことなどは、心を落ち着かせ、リラックスするために効果的です。また、自分の感情を素直に表現し、ストレスを溜め込まないようにすることも大切です。信頼できる人に話を聞いてもらったり、好きなことに熱中することで、心のバランスを取り戻すことができます。

心の健康は、体の健康と同じように、毎日の積み重ねで築かれるものです。自分自身の心の状態に気を配り、健やかな心を保つように心がけましょう。

感情の乱れ 気への影響 体の不調
過度の喜び 気が緩む 注意散漫
怒り 気が上昇する 高血圧、頭痛
悲しみ 気を消耗させる 元気消失、免疫力低下
恐れ 気を縮める 下痢、頻尿
考え過ぎ 気を滞らせる 胃腸の不調、不眠

腫瘍について

  • 長年のストレスや抑え込んだ感情が積み重なることで、岩のような固い腫瘍ができやすくなると考えられています。

腫瘍の治療と予防

  • 心の状態を整えることが大切
  • 穏やかな気持ちで過ごす
  • 瞑想、呼吸法、自然の中で過ごす
  • 感情を素直に表現し、ストレスを溜め込まない
  • 信頼できる人に話を聞いてもらう、好きなことに熱中する