おしっこの回数が多い?その原因と対策
東洋医学を知りたい
先生、『小便頻數』って、おしっこの回数が増えるってことですよね?それって、どんな時に起こるんですか?
東洋医学研究家
そうだね、おしっこの回数が増えることを指すよ。例えば、水をたくさん飲んだ時や、寒い時に起こりやすいね。他にも、膀胱炎などの病気の時にも見られるよ。
東洋医学を知りたい
なるほど。じゃあ、水をたくさん飲んだ時と、病気の時では、何か違いはあるんですか?
東洋医学研究家
そうだね、良い質問だね。水をたくさん飲んだ時は、おしっこの色は薄いことが多いけど、病気の時は濃い色だったり、濁っていたり、痛みを伴うこともあるよ。だから、いつもと違うと感じたら、お医者さんに相談するのが良いね。
小便頻數とは。
おしっこの回数が増えることを、東洋医学では『小便頻数』といいます。
頻尿とは
頻尿とは、おしっこの回数が増えてしまうことです。健康な状態では、昼間はだいたい4回から7回程度、夜は0回から1回程度おしっこに行きますが、頻尿になると、昼間は8回以上、夜は2回以上トイレに行くようになります。ただし、おしっこの回数は、年齢や普段の生活、飲んだ水分の量などによって、個人差があります。そのため、回数だけで頻尿かどうかを判断することは難しいです。
急に我慢できないような尿意が起こることを尿意切迫感といいます。また、夜、何度もトイレに起きることを夜間頻尿といいます。頻尿では、これらの症状を伴うことが多く、日常生活に影響が出てしまうこともあります。
東洋医学では、頻尿は体内の水分の流れが滞っている状態だと考えます。特に、腎と膀胱の働きが弱まっていることが原因だと考えます。腎は体内の水分代謝を調整する働きがあり、膀胱は尿をためて排出する働きがあります。これらの働きが弱まると、水分代謝がうまくいかなくなり、尿がうまくためられなくなったり、頻繁に尿意を感じたりするようになります。
冷えも頻尿を悪化させる要因の一つです。体が冷えると、腎や膀胱の働きがさらに低下し、頻尿の症状が悪化しやすくなります。体を温めることで、腎や膀胱の働きを助け、頻尿の改善につながることがあります。
おしっこの際に痛みを感じたり、おしっこをした後も残っている感じがある、おしっこに血が混じるといった症状がある場合は、膀胱炎や前立腺肥大症などの病気が隠れている可能性があります。このような症状がある場合は、すぐに病院で診てもらうことが大切です。頻尿の原因をきちんと調べて、適切な処置を受けることで、快適な毎日を送れるようになります。
項目 | 説明 |
---|---|
頻尿の定義 | おしっこの回数が増えてしまうこと。昼間8回以上、夜2回以上トイレに行く。個人差があり、回数だけでは判断が難しい。 |
関連症状 | 尿意切迫感(急に我慢できない尿意)、夜間頻尿(夜何度もトイレに起きる) |
東洋医学的考え方 | 体内の水分の流れが滞っている状態。腎と膀胱の働きが弱まっていることが原因。冷えも悪化要因。 |
腎の働き | 体内の水分代謝を調整する。 |
膀胱の働き | 尿をためて排出する。 |
冷えの影響 | 腎や膀胱の働きを低下させ、頻尿を悪化させる。 |
その他の病気の可能性 | 排尿時の痛み、残尿感、血尿がある場合は、膀胱炎や前立腺肥大症などの可能性もあるため、病院で診察を受ける。 |
考えられる原因
おしっこが近い、つまり頻尿には、様々な原因が考えられます。大きく分けて、体の老化によるもの、普段の生活でのくせ、そして病気によるもの、この三つが主なものです。年を重ねると、おしっこをためる袋である膀胱が縮み、その周りの筋肉の力も弱くなります。そのため、少しのおしっこでも膀胱がいっぱいになったと脳が勘違いし、トイレに行きたくなってしまうのです。
また、普段の生活での水分や飲み物の摂り方も大きく関係します。水をたくさん飲むと、当然おしっこの量も増えます。さらに、コーヒーや緑茶に含まれるカフェイン、お酒に含まれるアルコールには、おしっこの量を増やす作用があります。これらをたくさん摂ると、おしっこが近くなるのは当然のことです。体が冷えたり、心に負担がかかったりすると、体の調子を整える自律神経の働きが乱れ、おしっこの回数が増えることもあります。
頻尿は、体の不調のサインであることもあります。膀胱や尿道で炎症が起きたり、男性では前立腺が大きくなったりすることで、おしっこが近くなることがあります。また、おしっこの量を調整する働きを持つ腎臓の病気や、血糖値を下げるホルモンの不足によっておしっこの量が増える糖尿病も、頻尿の原因となることがあります。これらの病気では、おしっこが近い以外にも、熱が出たり、おしっこに血が混じったり、おしっこをする時に痛みを感じたり、腰が痛むといった症状が現れることもあります。このような症状がある場合は、すぐに病院で診てもらうことが大切です。
頻尿の主な原因 | 詳細 |
---|---|
体の老化 |
|
生活のくせ |
|
病気 |
※ 発熱、血尿、排尿痛、腰痛などを伴う場合は、すぐに病院へ。 |
東洋医学的見方
東洋医学では、度重なる尿意、つまり頻尿は、体内の水分の巡りと深く関わると考えられています。特に「腎」と「膀胱」という二つの臓腑の働きが重要です。
東洋医学でいう「腎」は、単なる西洋医学の腎臓とは異なり、生命力の根源、いわば生命エネルギーの源泉と考えられています。人の成長や発育、生殖機能など、生命活動の土台を支えていると考えられています。この「腎」の働きが衰えると、水分の代謝が滞り、体内の水分バランスが崩れて、頻尿の症状が現れると考えられています。腎の働きが弱る原因としては、年齢を重ねること、身体を冷やすこと、働き過ぎや心労などが挙げられます。夜間に何度もトイレに起きる、あるいは尿の量が減るといった症状を伴うこともあります。
一方、「膀胱」は、西洋医学の膀胱と同じく、尿をためて排泄する役割を担っています。東洋医学では、この膀胱の働きが滞ることも、頻尿に繋がると考えます。例えば、体内に余分な水分や熱がたまり、「湿熱」と呼ばれる状態になると、膀胱の働きが乱れ、急に尿意を催したり、排尿後も尿が残っているような感覚を覚えることがあります。また、「気滞」といって、体内のエネルギーの流れが滞ることも、膀胱の働きを阻害し、頻尿を引き起こす原因となります。
東洋医学では、頻尿を改善するために、一人ひとりの体質や症状に合わせて治療を行います。体質を「証」と言い、その証を正しく見極めることが重要です。「腎」や「膀胱」の働きを整える漢方薬を処方したり、ツボに鍼やお灸を施す鍼灸治療を行うことで、根本的な体質改善を目指し、頻尿の症状を和らげます。さらに、日常生活における養生指導も行い、冷え対策やストレス管理など、患者さん一人ひとりに合った生活習慣の改善を促します。
日常生活での対策
毎日の暮らしの中で、体の水分量を適切に保つことは、健康な排尿のリズムを保つ上でとても大切です。水分は体の働きを支える重要な役割を担いますが、一度にたくさん摂り過ぎたり、寝る直前に摂ったりすると、夜中に何度もトイレに行きたくなってしまいます。ですので、水分の摂り方を工夫し、寝る前は控えめにするように心がけましょう。また、コーヒーやお酒に含まれる成分も、トイレの回数を増やす原因となることがあります。これらをたくさん摂り過ぎないように気をつけましょう。
さらに、体を冷やさないことも大切です。冷えは体の機能を低下させ、排尿にも影響を及ぼすことがあります。温かい服装を心がけたり、お風呂で体を温めたりするなどして、冷えを防ぎましょう。
適度な運動も、体の調子を整える上で効果的です。軽い運動を習慣的に行うことで、体の機能が活発になり、自律神経のバランスも整います。また、ヨガやストレッチなど、リラックスできる時間を設けることも、自律神経のバランスを整え、排尿のトラブルを改善する助けとなります。
骨盤底筋体操は、排尿をコントロールする筋肉を鍛えるための体操です。この体操を続けることで、尿漏れや頻尿といった症状の改善が期待できます。
排尿については、トイレに行きたくなったら我慢せずに行くことが大切です。我慢を続けると、膀胱に負担がかかり、様々なトラブルを引き起こす可能性があります。ただし、トイレに行く回数が極端に多いと感じる場合は、医師の指示に従いながら、我慢する練習を取り入れることも有効です。自分の体の状態に合わせて、適切な排尿習慣を身につけていきましょう。
カテゴリー | 具体的な行動 |
---|---|
水分摂取 | ・体の水分量を適切に保つ ・一度にたくさん飲まない ・寝る直前は控えめにする ・コーヒーやお酒を摂り過ぎない |
冷え対策 | ・体を冷やさない ・温かい服装をする ・お風呂で体を温める |
運動 | ・適度な運動を習慣的に行う ・ヨガやストレッチなどリラックスできる時間を作る |
骨盤底筋体操 | ・骨盤底筋体操を行う |
排尿習慣 | ・トイレに行きたくなったら我慢しない ・頻尿の場合は医師の指示に従い我慢する練習をする |
専門家への相談
夜中に何度もトイレに起きる、日中でも急に我慢できないほど尿意に襲われる…。このような頻尿の症状でお悩みの方は少なくありません。もしご自身が頻尿に悩まされていると感じるなら、まずは医療機関を受診することをお勧めします。
医療機関では、医師による問診、尿検査、血液検査などを通して、頻尿の原因を探ります。頻尿の原因は実に様々で、例えば膀胱炎などの感染症、前立腺肥大症、過活動膀胱、糖尿病、神経系の病気などが挙げられます。正しい診断に基づいた適切な治療を受けることが、頻尿改善の第一歩です。
頻尿の治療法には、西洋医学的な治療だけでなく、東洋医学的なアプローチも有効です。東洋医学では、体全体のバランスを整えることを重視します。頻尿は、体の冷えや水分の代謝の乱れ、気の流れの滞りなどが原因で起こると考えられています。漢方薬では、個々の体質や症状に合わせて、これらの不調を改善する生薬を組み合わせて処方します。また、鍼灸治療は、ツボを刺激することで気の流れを調整し、自律神経の働きを整え、頻尿の症状を緩和します。
西洋医学、東洋医学どちらを選択するにしても、専門家とじっくり相談することが大切です。ご自身の症状や生活習慣、体質などを詳しく伝えることで、より適切なアドバイスや治療法を提案してもらえます。頻尿は、日常生活に大きな支障をきたす症状です。一人で悩まず、専門家のサポートを受けて、快適な毎日を取り戻しましょう。
まとめ
夜間に何度もトイレに起きる、日中に何度もトイレに行きたくなる、このようなおしっこの回数の多さは、生活の質を大きく下げてしまうものです。東洋医学では、この症状を「頻尿」と呼び、様々な要因から起こると考えています。
まず、加齢による体の変化は大きな要因の一つです。歳を重ねるにつれて、体の水分をため込む力が弱まり、おしっこの量が増えることがあります。また、腎臓の働きも衰え、おしっこを濃縮する力が弱まるため、おしっこの量が増えてしまうのです。
生活習慣の乱れも、頻尿を招く要因となります。冷たい飲み物や食べ物の摂り過ぎは、体を冷やし、おしっこの量を増やしてしまうことがあります。また、味の濃い食べ物は、のどが渇きやすくなるため、水分を多く摂り、おしっこの回数が増えてしまうこともあります。
さらに、心の状態も頻尿に影響を及ぼすことがあります。不安や緊張が強い状態が続くと、自律神経のバランスが崩れ、頻尿につながることがあります。
東洋医学では、体質の改善を重視します。体を温める食材を積極的に摂ったり、適度な運動を心がけることで、体の機能を高め、頻尿を改善へと導きます。
ツボ刺激も効果的な方法の一つです。足にある「三陰交」や「腎兪」といったツボを刺激することで、体の機能を整え、頻尿の改善を促します。
これらの方法を試しても症状が改善しない場合は、専門家に相談することをお勧めします。専門家は、あなたの体質や症状に合わせて、最適な方法を提案してくれます。頻尿は、適切な対応をすることで改善できるものです。一人で悩まず、専門家の助言を聞きながら、快適な毎日を取り戻しましょう。