その他 東洋医学における「虚」の概念
東洋医学では、健康を保つ上で大切なものとして「気」という考えがあります。この「気」は、目には見えないものの、体全体を巡り、生命活動を支えるエネルギーのようなものです。この「気」が十分にあり、体を守る力が十分に備わっている状態を「正気」と言います。「虚」とは、この「正気」が不足している状態を指します。単に体が弱いというだけでなく、体の内側から活力が失われ、本来あるべき働きが十分にできなくなっている状態を意味します。例えるなら、植物を育てる際に、土壌に栄養が不足している状態に似ています。栄養が不足すると、植物は弱々しくなり、病気にもかかりやすくなってしまいます。人間も同様に、「正気」が不足すると、外からやってくる風邪や病原菌といった「外邪」から体を守ることが難しくなります。例えば、普段は風邪をひかない人でも、「正気」が不足している時は、風邪をひきやすくなります。また、風邪をひいたとしても、なかなか治らなかったり、長引いたりすることもあります。これは、「正気」が不足することで、体の回復力も弱まっていることを示しています。さらに、「正気」の不足は、内臓の働きを弱らせたり、血の巡りを悪くしたりといった、様々な体の不調につながることもあります。そのため、東洋医学では、「虚」の状態を改善することが、健康を取り戻すための重要な一歩と考えられています。まるで、乾いた土に水を注ぎ、栄養を与えるように、「気」を補い、「正気」を養うことで、体の内側から健康を取り戻していくことを目指します。
