平補平瀉

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平補平瀉法:中庸の鍼

平補平瀉法は、鍼灸治療における鍼の手技の一つで、補う方法と瀉す方法を程よく組み合わせた施術です。人間の身体の中には「気」と呼ばれる生命エネルギーが流れており、この気の過不足が健康状態を左右すると考えられています。補う方法は、不足している気を補う施術で、反対に瀉す方法は、過剰な気や滞っている悪い気を体外へ出す施術です。平補平瀉法は、この相反する二つの作用をバランスよく用いることで、身体の気の巡りを整え、本来の自然な回復力を高めることを目的としています。身体の状態は常に一定ではなく、複雑に変化します。単純に気を補ったり瀉したりするだけでは対応が難しい場合も少なくありません。例えば、ある臓腑では気が不足している一方で、別の臓腑では気が過剰になっているという、虚実入り混じった状態の際に、この平補平瀉法は有効です。また、気の状態が複雑で、虚と実のどちらの状態なのかはっきりしない場合にも用いられます。平補平瀉法の具体的な手技としては、鍼の刺し方、深さ、刺激の強さ、留針時間などを調整することで、補と瀉のバランスを図ります。例えば、比較的ゆっくりと鍼を刺入し、浅い位置に留置する場合は補の手技となり、速やかに刺入し、深い位置に留置する場合は瀉の手技となります。また、鍼を回転させる手技においても、右回転は補、左回転は瀉といったように使い分けられます。さらに、鍼を刺したまま一定時間置いておく留針においても、時間の長短で補と瀉を調整することが可能です。このように、繊細な技術と経験に基づいて施術することで、身体全体のバランスを整え、健康へと導いていきます。平補平瀉法は、体質改善や慢性的な不調の改善など、幅広い症状に対応できる施術法と言えるでしょう。
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平補平瀉:穏やかな調和

平補平瀉とは、東洋医学の施術、とりわけ鍼灸や推拿などで用いられる大切な手法です。これは、人の身体の中を流れるエネルギー、いわゆる「気」のバランスを調えるために行われます。気は経絡と呼ばれる道筋を巡り、内臓に栄養を送り届け、身体の働きを支えています。ところが、様々な理由で気のバランスが崩れることがあります。気の流れが滞ったり、過剰になったり、不足したりすることで、不調につながると考えられています。気のバランスが崩れた時、東洋医学では過剰な場合は瀉法(しゃほう)を用いて気を鎮め、不足している場合は補法(ほほう)を用いて気を補います。この補法と瀉法を穏やかに、ゆっくりと行う方法が平補平瀉です。平補平瀉では、鍼を刺したり、指で経穴(ツボ)を押したりする際に、一定の力加減で、同じリズムで、ゆっくりと操作します。急激な変化を避け、身体への負担を少なくしながら、自然な形で気のバランスを調えていくことを目指します。例えば、楽器の調律を想像してみてください。弦を強く締めすぎると音が高くなりすぎ、緩めすぎると音が低くなります。調律師は、繊細な調整を繰り返し、美しい音色を引き出します。平補平瀉もこれと同じように、身体の調律師のように、繊細な刺激で気のバランスを調整し、健康へと導くのです。平補平瀉は、体質改善や未病(病気ではないが健康でもない状態)の改善にも用いられます。体質に合わせてじっくりと時間をかけて気のバランスを整えることで、病気になりにくい身体づくりを助けます。また、不調の根本原因に働きかけることで、再発防止も期待できます。