漢方の材料 漢方薬と四つの性質:冷えと熱のバランス
東洋医学では、自然界のあらゆるもの、そして私たち人間の体もまた、「四つの性質」、すなわち「寒(かん)」「熱(ねつ)」「温(おん)」「涼(りょう)」の四つの力で成り立っていると捉えます。これは、それぞれの物が持つ温め冷ます働きを表すものです。まず「寒」は、文字通り体を冷やす働きを持つ性質です。例えば、真夏の強い日差しを遮る木陰の涼しさや、冬の凍えるような寒さを和らげる温かい飲み物のように、寒性の物は体にこもった熱を冷まし、炎症を抑える働きがあります。夏野菜の代表格であるトマトやキュウリ、スイカなどは、この寒性の食材です。暑さで火照った体を冷まし、夏の暑さを乗り切る助けとなってくれます。次に「熱」は、体を温める働きを持つ性質です。寒い冬に焚き火で暖まるように、熱性の物は体の冷えを取り除き、血行を良くする働きかけをします。体を温める作用が強い唐辛子や生姜、ニンニクなどは熱性の食材です。冷えの強い体や、寒さで弱った体を温めてくれるでしょう。「温」は、熱ほど強くはありませんが、穏やかに体を温める性質です。春の柔らかな日差しのような温かさを持ち、冷えを取りつつも熱くなりすぎることはありません。ネギやニラ、玉ねぎなどは温性の食材で、冷えやすい体を優しく温めてくれます。最後に「涼」は、寒ほど強くはありませんが、穏やかに体を冷やす性質です。秋の澄んだ空気のような涼やかさを持ち、体の熱を冷ましつつも冷えすぎることはありません。梨や豆腐、緑茶などは涼性の食材で、ほてりやすい体や熱を帯びやすい状態を鎮めてくれます。この四つの性質は、自分の体質を理解し、バランスを整える上で非常に大切な考え方です。例えば、冷えを感じやすい人が寒性の食材ばかり食べていると、冷えはさらに悪化してしまうかもしれません。反対に、熱がこもりやすい人が熱性の食材ばかり食べていると、のぼせや炎症を起こしやすくなるかもしれません。自分の体質を見極め、四つの性質を意識して食材を選び、食事を摂ることで、健康な体を保つことができるのです。
