食疳:小児の消化器系の不調

東洋医学を知りたい
先生、『食疳』ってどういう意味ですか?漢字からなんとなく想像できるんですけど、いまいちよくわからないです。

東洋医学研究家
そうですね。食疳は、簡単に言うと、食べ物の摂りすぎや消化不良が原因で、胃腸の働きが弱くなって起こる小児の病気です。疳の症の一種で、湿熱が体の中に溜まっている状態ですね。脾疳と同じ意味で使われますよ。

東洋医学を知りたい
なるほど。胃腸の働きが弱くなるっていうことは、食欲不振とか、お腹が張るといった症状が出ますか?

東洋医学研究家
その通りです。食欲不振、お腹の張り以外にも、吐き気や下痢、便秘、顔色が悪くなる、機嫌が悪くなる、夜泣きする、といった症状が見られることもあります。また、湿熱が関係しているので、便が臭かったり、舌が黄色っぽく苔がついていたりすることもありますね。
食疳とは。
東洋医学には「食疳(しょっかん)」という言葉があります。これは、脾(ひ)と胃(い)の働きが弱まり、体に湿気がたまり熱がこもることで起こる小児の病気のことです。脾疳(ひかん)と同じ意味で使われます。
食疳とは

食疳は、主に乳幼児にみられる消化器の不調で、東洋医学では小児疳症のひとつに数えられます。これは、食べ物を消化し栄養を体に巡らせる働きである「脾胃」の働きが弱まることが主な原因と考えられています。脾胃の働きが弱まると、食べ物の消化吸収がうまくいかなくなり、栄養が十分に体に行き渡らなくなります。その結果、様々な症状が現れます。
西洋医学では、栄養障害や消化器系の病気と診断されることもありますが、東洋医学では、体質や症状の変化など、様々な側面から総合的に判断します。食疳の特徴として、体に湿気がこもり熱を持つ「湿熱」の状態を伴うことが多くあります。この湿熱は、体に重だるさや炎症を引き起こし、食疳の症状をさらに悪化させる要因となります。
食疳の症状としては、食欲不振がまず挙げられます。食べ物を消化できないため、食べたいという気持ちが起こりにくくなります。また、お腹の張りや便秘、あるいは下痢といった便通の異常もよく見られます。さらに、顔色が悪く、皮膚に湿疹やかゆみが出ることもあります。夜泣きやぐずりがひどくなることもあり、保護者を悩ませることもあります。
食疳の治療では、脾胃の働きを高め、体の中の湿熱を取り除くことが大切です。食事療法としては、消化の良いものを少量ずつ与え、脾胃に負担をかけないようにします。また、体を温める食材を取り入れ、冷えからくる消化不良を防ぎます。東洋医学では、小児推拿や鍼灸治療なども用いられます。これらは、特定の経穴(ツボ)を刺激することで、脾胃の働きを調整し、湿熱を取り除く効果が期待できます。保護者は、子どもの様子をよく観察し、少しでも異変を感じたら、早めに専門家に相談することが大切です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 疾患名 | 食疳(小児疳症の一つ) |
| 主な原因 | 脾胃の機能低下 |
| 病態 | 湿熱 |
| 症状 | 食欲不振、お腹の張り、便秘、下痢、顔色不良、皮膚の湿疹やかゆみ、夜泣き、ぐずり |
| 治療法 | 脾胃の機能を高め、湿熱を取り除く – 食事療法:消化の良いものを少量ずつ与え、体を温める食材を取り入れる – 推拿、鍼灸治療 |
| 診断 | 体質や症状の変化など様々な側面から総合的に判断 |
食疳の症状

食疳は、乳幼児期に多く見られる病気で、主に脾胃の働きが弱まることで起こります。その症状は多岐にわたり、食欲の減退は最も顕著な兆候です。普段はよく食べる子が、急に食が進まなくなったり、好きな食べ物さえも口にしなくなったりします。また、食べたものをうまく消化できない消化不良もよく見られます。お腹が張って苦しそうにしたり、吐き戻しをすることもあります。便の状態も変化し、下痢や便秘を繰り返すこともあります。
さらに、食疳が進むと、顔色が悪くなり、顔色が青白くなったり、唇や爪の色が悪くなったりします。元気がなくなり、一日中ぐったりしていることもあります。遊びたがらず、機嫌が悪く、夜泣きがひどくなることもあります。また、体の中に余分な熱がこもる、いわゆる湿熱の状態になると、口臭が強くなったり、舌に厚い苔が付着したりします。便も臭いが強くなり、皮膚にかゆみが出たり、湿疹のような発疹が出たりすることもあります。
これらの症状は、単独で現れることもあれば、いくつかが組み合わさって現れることもあります。食疳を放置すると、栄養状態が悪化し、身体の発育に影響を及ぼす可能性があります。また、免疫力の低下から、他の病気にかかりやすくなることもあります。そのため、少しでも気になる症状が見られたら、早めに専門家に相談し、適切な対処をすることが大切です。

食疳の原因

食疳は、子どもの発育を阻害する厄介な病気です。東洋医学では、この食疳の主な原因を脾胃の働きが弱まることと考えています。脾胃とは、食べ物を消化吸収し、全身に栄養を運ぶ大切な臓器です。この脾胃の働きが衰えると、栄養が十分に体に回らず、様々な不調が現れます。
では、何が脾胃の働きを弱めるのでしょうか。まず考えられるのは、食べ過ぎや偏った食事です。一度にたくさんの食べ物を詰め込んだり、好きなものばかり食べるなど、食生活が乱れると、脾胃に負担がかかり、働きが弱ってしまいます。また、冷たい食べ物や飲み物の摂り過ぎも良くありません。冷たいものは脾胃の働きを鈍らせてしまい、消化吸収を妨げます。さらに、甘いものも脾胃を弱める原因となります。甘いものを過剰に摂取すると、体内に湿気がたまりやすく、脾胃の働きを阻害します。
不規則な食事も脾胃の働きを乱す大きな要因です。食事時間がバラバラだったり、食事を抜いたりすると、脾胃のリズムが崩れ、正常に機能しなくなります。加えて、心労や心配事などの精神的なストレスも脾胃に悪影響を及ぼします。
特に、幼い子どもは脾胃の働きがまだ十分に発達していないため、食生活の乱れや環境の変化によるストレスなどで食疳を起こしやすくなっています。
また、湿熱も食疳を引き起こす原因の一つです。湿熱とは、高温多湿の環境や脂っこい食事、甘いものの摂り過ぎなどによって体内に生じる熱と湿気を帯びた状態のことです。この湿熱は、脾胃の働きをさらに低下させる要因となります。湿熱が体にこもると、消化吸収が滞り、食疳の症状が現れやすくなります。そのため、食疳を予防・改善するためには、脾胃を労わり、湿熱を生じさせない生活習慣を心がけることが大切です。

食疳の治療法

食疳は、乳幼児期に多く見られる病気で、食べ過ぎや消化不良によって起こります。主な症状としては、食欲不振、お腹の張り、嘔吐、下痢などが見られます。東洋医学では、この食疳は、脾胃(消化器系)の働きが弱まり、体内に湿熱(余分な水分と熱)が溜まることで起こると考えられています。
食疳の治療では、弱った脾胃の働きを回復させ、溜まった湿熱を取り除くことが重要です。そのために、一人ひとりの体質や症状に合わせた漢方薬の処方が行われます。例えば、脾胃の働きを高めて消化吸収を良くする健脾益気湯や、湿気を取り除く藿香正気散、胃の働きを整える平胃散、胃腸の働きを良くし、体力を補う六君子湯などが用いられます。これらの漢方薬は、体質や症状に合わせて適切に組み合わせることで、より効果を発揮します。
また、鍼灸治療も食疳の治療に効果的です。脾胃に関連するツボを刺激することで、消化器系の機能改善を促します。
さらに、食事療法も食疳の治療には欠かせません。消化しやすい温かい食事を心がけ、生ものや冷たいもの、脂っこいもの、甘いものはなるべく控えます。暴飲暴食は避け、少量ずつよく噛んで食べることも大切です。規則正しい食生活を送り、脾胃に負担をかけないようにすることが、食疳の予防と改善につながります。
このように、東洋医学では、漢方薬、鍼灸、食事療法などを組み合わせ、体全体のバランスを整えながら食疳の治療を行います。保護者は、子供の状態をよく観察し、専門家の指導のもと、適切な治療を行うようにしましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 乳幼児期に多い、食べ過ぎや消化不良による病気 |
| 症状 | 食欲不振、お腹の張り、嘔吐、下痢など |
| 東洋医学的解釈 | 脾胃(消化器系)の機能低下と湿熱(余分な水分と熱)の蓄積 |
| 治療法 | 漢方薬、鍼灸、食事療法 |
| 漢方薬 |
※体質や症状に合わせて適切に組み合わせる |
| 鍼灸治療 | 脾胃に関連するツボを刺激し、消化器系の機能改善を促す |
| 食事療法 |
|
| 全体的アプローチ | 体全体のバランスを整えながら治療を行う |
食疳の予防法

食疳は、主に乳幼児に見られる病気で、食べ過ぎや消化不良によって脾胃の働きが弱まり、体に湿熱が溜まることで起こります。日頃から脾胃を健やかに保ち、湿熱を溜めない生活習慣を心がけることで、食疳を予防することができます。
まず、バランスの良い食事を規則正しく摂ることが大切です。五味(甘味、酸味、塩味、苦味、辛味)をバランス良く含む食材を選び、決まった時間に食事をすることで、脾胃の負担を軽減し、消化吸収を助けます。特に、甘いものや脂っこいもの、生もの、冷たいものは脾胃を弱めるため、摂り過ぎには注意が必要です。乳幼児期は、消化器官が未発達なため、粥や柔らかく煮た野菜など、消化しやすいものを中心に与えるようにしましょう。また、母乳やミルクは、消化吸収が良く、免疫力を高める効果も期待できますので、積極的に与えることが推奨されます。
適度な運動も、脾胃の働きを活発にするために効果的です。外で元気に遊ぶ、散歩をするなど、体を動かす習慣を身につけましょう。ただし、激しい運動はかえって体に負担をかけるため、年齢や体力に合わせた無理のない運動を心がけることが大切です。
心身の健康も、食疳の予防には欠かせません。ストレスや疲れは、脾胃の働きを低下させる原因となります。十分な睡眠時間を確保し、心身ともにリラックスできる時間を持つようにしましょう。また、高温多湿の環境は、湿熱を助長するため、適切な室温管理を行い、風通しの良い環境を保つことが大切です。
食疳は、日頃の生活習慣の積み重ねが大きく影響します。規則正しい生活を送り、脾胃を健やかに保つことで、食疳になりにくい体を作ることができます。

食疳と脾疳

食疳と脾疳は、どちらも子供の成長過程でみられる不調で、一見同じもののように思われますが、東洋医学では微妙な違いがあります。どちらも脾の働きが弱っていることが根本原因ですが、その症状や病状の進行に違いが見られます。
脾とは、飲食物から体に必要な栄養分を吸収し、全身に運ぶ大切な役割を担っています。この脾の働きが弱ると、栄養が十分に吸収されず、様々な不調が現れます。これを脾疳と呼びます。具体的には、顔色が悪く、元気がなく、お腹が張って食欲がない、軟便や下痢をするといった症状が現れます。
食疳は、この脾疳がさらに進行した状態と考えられています。脾の働きが弱っている上に、食べ過ぎや脂っこいもの、甘いものの摂り過ぎなどによって、体内に熱と湿気がこもってしまうことが原因です。食疳になると、脾疳の症状に加えて、熱っぽくなり、口臭がしたり、便が臭くなったり、舌が赤くなったり、舌苔が黄色くなったりします。また、イライラしやすくなることもあります。
このように、食疳と脾疳はどちらも脾の機能低下が原因ですが、食疳は過食や不適切な食事による熱と湿気の蓄積が加わった状態と言えます。そのため、治療においても、脾の働きを助けるだけでなく、体内にこもった熱と湿気を取り除くことが重要になります。日頃からバランスの良い食事を心がけ、脾胃を養うことで、食疳や脾疳を予防することができます。
| 脾疳 | 食疳 | |
|---|---|---|
| 根本原因 | 脾の機能低下 | |
| 誘因 | – | 食べ過ぎ、脂っこいもの・甘いものの摂り過ぎ |
| 状態 | 脾の機能低下 | 脾の機能低下+熱と湿気の蓄積 |
| 症状 | 顔色が悪い、元気がない、お腹が張る、食欲がない、軟便・下痢 | 脾疳の症状に加え、熱っぽい、口臭、便が臭い、舌が赤い、舌苔が黄色い、イライラしやすい |
