その他 胸痹:胸の痛みと東洋医学
胸痹(きょうひ)とは、東洋医学における病名で、現代医学の狭心症や心筋梗塞といった心臓の病気に似た症状を示す病気を指します。主な症状は、胸の痛みや圧迫感、息苦しさなどで、体を動かした時や心に負担がかかった時に、これらの症状がひどくなるのが特徴です。東洋医学では、人の体は、気・血・津液と呼ばれる生命エネルギーが滞りなく巡ることで健康が保たれていると考えます。このエネルギーのバランスが崩れると、体に様々な不調が現れます。胸痹もこの生命エネルギーの乱れが原因で起こると考えられており、特に心臓を養う心気と心血の不足や滞りが主な原因とされています。心気とは、心臓の働きを支えるエネルギーです。心気が不足すると、心臓が十分に働けなくなり、胸の痛みや動悸、息切れなどの症状が現れます。また、心血とは、心臓に栄養を与える血液のことです。心血が不足すると、心臓に栄養が行き渡らず、胸の痛みや刺すような痛み、顔色が悪くなるなどの症状が現れます。さらに、痰(たん)や瘀血(おけつ)と呼ばれる病的な物質が、心臓の血管を詰まらせることも胸痹の原因の一つです。痰とは、体内の水分代謝が滞ってできた粘り気のある物質で、瘀血とは、スムーズに流れなくなった血液のことです。これらが血管を詰まらせることで、心臓に十分な血液が送られなくなり、胸の痛みや圧迫感が生じます。東洋医学では、病気を治すには、表面的な症状を抑えるだけでなく、根本的な原因を取り除くことが大切だと考えます。そのため、胸痹の治療では、患者一人ひとりの体質や症状に合わせて、気・血・津液のバランスを整え、痰や瘀血などの病的な物質を取り除くための様々な方法が用いられます。鍼灸治療や漢方薬、食事療法、運動療法などを組み合わせ、患者さんの体質を改善し、心と体の両面から健康を取り戻すことを目指します。
